ヘリオトロープ【HiGH&LOW】

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「おいおい、なんだこりゃ」

どこへ行っても倒れてる鬼邪高の人間。
鬼邪高って言ったって、全員がまともに闘えるような奴等じゃない。


「ね、山王のやつらは」

「…ち、はるの…ところ…、っす… ｯ」

ちはるのところ
チハルと、古屋の闘っている場所
そこに山王の奴等がいる
無論、コブラもいる


「………良樹、」



.



例の教室は、いつも私達が溜まっている場所。

やけに静かなのを不審に思い、扉を開けると誰もいないこっちサイド、基、鬼邪高サイド。



「あれ、はやすぎた感じ、」

「……山田、」


名前を呼ぶ古屋と床に倒れてるチハルを見て、あーと声に出す。
勝負は既についた、とりあえずは。
見守る山王の奴等の中にさっきのドレッドを見つけ、来るの早すぎだろとドン引きしたとき、



「……離せおら ｯ」

「っせぇな馬鹿野郎」


雑に開かれた扉から鬼邪高生が一人、投げ込まれたかと思えば、誰かの頭を掴みながら番長のご登場。

私は立っていた場所から横へずれ、関ちゃんの立つ近くに椅子を置いて座る。
番長が古屋にキレて、掴んでいた誰かを私の真横に投げた。痛そう。

不機嫌な番長はやっとお目当てコブラを見つけたようで、手を叩いて歓迎する。


「…待ってたぜ」


番長のその言葉の後、古屋とチハルがそれぞれの場所に下がった。


「こいよ、タイマンだ」

「てめぇが来いよ」


番長が笑いながらコブラに向かっていき、闘いが始まった。
SとOの、抗争の終末。


勝負はほぼ互角。
番長は楽しそうに拳を振るう。

喧嘩してるお前が、一番生き生きしてるよ。

ぴょんぴょん飛び跳ねながら笑う番長につられて、私も口元が緩む。


勝負はほぼ互角、と思ったのも矢先。
少しずつ、ほんの少しずつ差が生まれてきた。


一発一発の、殴り合い。

精神が張り詰めるような空気の中、二人はただ順番に殴り合う。



「……なんでぇ、」


勝負は見えてしまった。

これは、番長の負けだ。


「…なにがちげえんだよぉ、」

足に力が入らず、ふらふらと立ち上がる番長の姿に周りの鬼邪高生が心配そうな表情をする。
関ちゃんはもう涙が目にたまっている程。


コブラの最後の一発に、番長が倒れた。

…負けだ。
コブラは、立ち上がった。



「っいくぞ！！」

古屋の声を合図にコブラに向かおうとした鬼邪高生を、番長が やめろ！と制す。

関ちゃんが周りを押しのけて、倒れている番長を支えに行く。


私はまだ、動かぬまま。

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