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「 お前、これ好きやろ 」
不器用に投げられ
私の元に落ちてきたのは
ぶっさいくなブタのぬいぐるみだった。
それは
別なクラスで出している露店で
売られていたもの。
「 仲間やろ、お前の 」
そう言って
久しぶりに私に向けられた
キラキラの笑顔。
「 ……おいっ、なんか反応せぇ 」
あまりに突然のことで
固まったまま言葉を発さない私を見て
少し気まずそうに頭をかいただいちゃんは
「 お前にやる 」とだけ言って
また背を向けて歩き出してしまった。
「 良かったやん 」
固まる私の肩を
コツン、と突き
ポケットに手を入れたまま
先に歩き出した神ちゃん。
『 ……うんっ！ 』
私の腕の中に収まったぬいぐるみを
改めてギュッと抱きしめ
私も神ちゃんのあとを追った。
顔を近づければ
ほのかに
だいちゃんの香りがする
ぬいぐるみ。
だいちゃんが
私のために
わざわざ
買ってくれた。
……そう思うと
なんだか
久しぶりに
だいちゃんを近くに感じれた気がする。
「 あからさまに幸せそうな顔せんといてー 」
『 えっ？！ 』
「 一応、俺もAのこと好きやねんけどっ 」
そう言って
私の頬を軽く引っ張って
口を尖らせた神ちゃん。
そんな
嫉妬している
神ちゃんがかわいくて
思わず吹き出すと
「 なんやねん 」と
さらに
頬を引っ張る手が追加され
自然と緩んだ私の表情。
『 ひょっほー、ひはひんへふへほーっ 』
「 あはははっ！これでも足りひんわっ 」
言葉にならない
私の声を笑いながら
神ちゃんは
ムニムニと頬を引っ張っる手に
ちょっとだけ力を加えた。
すると
頬を引っ張っていた手を離し
「 正直過ぎや 」と
今度はデコぴんをお見舞いされた。
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作者名：小島美奈
| 作成日時：2018年10月6日 22時
