一人咲く彼岸花と賢者の石【HP】 (ページ10)

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A達が食事をしていると今度はスネイプがテーブルを回り、時間割を渡していた。

「おいおい、見ろよ今日のを。」

マイクが呻いた。

「魔法史、魔法薬学が二時間続き、古代ルーン文字学二時間続きの闇の魔術に対する防衛術…」

「ビンズにスネイプ、バブリングに帰ってきたクィレル先生。」

『ずっと座ってないだけ良いでしょ？』

Aは言葉ではそう言うも、表情は全く逆方向だった。

「月曜から魔法象形文字とにらめっこだぞ？嫌な五年目が始まるな。」

「たしか去年なんてOWL(普通レベル魔法試験)が近づくと半数が軽い神経衰弱を起こしてなかった？」

「OWL(ふくろう)は大事だぞ。」

斜め前に座っていた六年生のエイドリアン･ピュシーが言う。

「なんてったってOWLは将来どんな仕事に就くかとか色々影響するからな。今学期の後半には進路指導も始まる。」

「進路指導？」

マイクが尋ねる。

「スネイプと相談して、来年どういう種類のNEWT(いもり)を受けるかを選ぶんだ。」

「OWLをいくつ取れたか分からないのにもうNEWTの話をするの？」

ドナが明らかに嫌そうな顔で言う。

「エイドリアン！」

遠くで同じスリザリン生がエイドリアンを呼んだため、エイドリアンは｢じゃ。｣と席を外した。

「ホグワーツを出たら何をしたいか決めてる？」

しばらくして魔法史の授業に向かうために大広間を出たドナが二人に尋ねる。

『そうねぇ…』

Aは考えながら言う。

『魔法省に入る気なんてさらさらないから、ホグワーツの教員にでもなろうかしら。』

「君すごいな、卒業してもまだここに居たいのか？」

正直、何も決めていなかった。
ただ、このままホグワーツを去っていい気がしなかったのだ。

『ここにいて辛いのは学生だけよ。教員になれば立場逆転。』

「あら、怖い。」

『マイクは？』

「俺は闇祓いにでもなろうかと思ってる。」

マイクは熱を込めて言う。

「あなたみたいな勉強もスポーツも出来る人は歓迎されるわよ。人の心は、読めないけど。」

ドナがニヤッと笑ってそう言った。