一人咲く彼岸花と賢者の石【HP】 (ページ46)

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それから少しだった日の夕方、五年生達は群がって寮の掲示板に釘付けになっていた。

“進路指導

来週の月曜から五年生は全員、寮監と短時間面接し、将来の職業について相談すること。

個人面接の時間は左記リストの通り。”

リストを辿るとAは最終日の二時半からだった。

一番最後か…

となると呪文学の授業はほとんど出ずにすむ。

Aや他の五年生達は空き時間を見つけると、目を通しておくようにと置かれた職業紹介資料を読んで過ごした。

「癒術はやりたくないな。」

夜、マイクはソファに座りながら口火を切った。

マイクは骨と杖が交差した紋章のついた表紙の聖マンゴのパンフレットに没頭しているところだった。

「ほら、NEWT(いもり)試験の魔法薬学、薬草学、変身術、呪文学、闇の魔術に対する防衛術で少なくともE･期待以上をとる必要がありますだと。」

「別にあなたは成績に関しては問題ないんじゃない？」

ドナが言う。

「癒師なんて期待度が低くていらっしゃるよな。」

マーカスが嫌味を込めて言う。

何かとマイクとマーカスは張り合う。

勉強面では明らかにマーカスが劣っているにも関わらずクディッチではトントンだからだ。

「ねぇ、二人とも、これ聞いて。“やりがいのある職業を求めますか？旅行、冒険、危険が伴う宝探しと、相当額の宝のボーナスはいかが？それなら、グリンゴッツ魔法銀行への就職を考えましょう。現在、呪い破りを募集中。海外でのぞくぞくするようなチャンスがあります。”」

『でもそれ、数占いが必要よ。マイクならできるけど。』

するとマーカスは機嫌を損ねたように｢俺は銀行なんて興味ない！｣と言ってどこかに行ってしまった。

『けど、マイクは銀行もありでしょ？』

「あぁ、宝のボーナスに興味あるからな。NEWTの試験も勉強すれば魔法薬も合格だろ。」

「成績にものを言わしてるからマーカスと揉めるのよ。」

『でも、魔法薬の実技相当頑張らないとね。』

と、Aが一括するとマイクは舌を出して別のパンフレットを開き始めた。