一人咲く彼岸花と賢者の石【HP】 (ページ15)

今日:25 hit、昨日:44 hit、合計:173,462 hit

15 ページ15

.

古代ルーン文字学はとんでもない眠気と戦いながらなんとかノートを取った。

三年生のとき、古代ルーン文字学と占い学で選べたが、占いと言う不確かなものに左右されるべきではないからして古代ルーン文字学を選んだのだが、卒業後は二度と使わないだろう。

「ねぇ、これどうやって訳すの？」

暫くぼーっとしていると斜め上に座るジェマ･ファーレイが話しかけてくる。

『どうして私に聞くの、ドナの方が得意なの知ってるでしょ？』

そう、古代ルーン文字学においてはドナの才能が開花し、学年トップをぶっちぎりで走っていた。

だが、ジェマは自分が監督生になり損ね、ドナが監督生になったのが気に食わず、Aに尋ねたのだ。

『ドナ。』

「…はぁ、私いがみ合うの嫌い。」

ドナはジェマを見上げて言う。

「……分かったわ…ごめんなさい。」

「それならいいのよ、仲良くしましょ？」

ドナはとびっきりの笑顔でジェマに手を差し出し、二人は握手した。

「ここはね、…」

時々ドナが分からなくなる。

人の心を読むのは開心術閉心術関係なく得意なのは元々の素晴らしい才能なのだが、こういう時、すぐに仲直り出来てしまうのは不思議だ。

これも一つの才能なのだろうか。

そうであるのならドナはかなり人として生きることに向いている。

「…A？どうしたの？」

ドナが深刻そうにAの顔を覗いてくる。

『なんでもない。、そのノート、後で見せて。』

「Aみたいな優等生に頼ってもらえて嬉しいわ。」

ドナは少々皮肉を込めて言うがいつものコミュニケーションなのでAは微笑んだ。