おのれ狸：肆拾玖 ページ4
だが、彼女は首を傾げてこう続けた。
「でも、それがどうしたっていうんです？」
「は…」
「自分と同じ分霊の、後任の審神者の初期刀と同居することになった。それが、どうして貴方を刀解する理由になるんです？」
無垢で黒い大きな瞳が、陸奥守吉行を真っ直ぐに見つめて離さない。聞きたくないのに、まるで吸い込まれるかのように、よっちゃんは芥子の目から逃れられなくなった。
「ここの皆さんにとっての''陸奥守吉行''は、貴方ただ一人でしょうに。」
「よっちゃん」と鶴丸は目を見開いた。締め切られた障子の隙間から、爽やかな風が入り込んで彼らの髪を揺らす。
「…あのですね、確かに同じ刀があるという事は混乱を招きます。しかし、今あなた方は人の身で、分霊。人格にも差がある。もうこれ別人として扱って良くないで〜すか？別に複数いてもいいんじゃありませんか。」
芥子は手入れの終わった刀身を丁寧に鞘に収め、それぞれに渡す。しかし、よっちゃんは食い下がる。
「じゃけんど…わしは…」
「く〜ど〜い〜で〜す〜。私はダブリが理由で元々いた刀を刀解する気は毛頭ないんですからね！諦めてください。」
「それともなんです？貴方の身を案じて、場合によれば私を斬る気満々だった鶴丸さんを置いて逃げるんで〜すか？？」
この一言で、部屋の空気が一瞬にして凍りいた。重い沈黙が部屋に沈み、バッと全員が鶴丸の方を見る。
鶴丸は口元を引きつらせ、居心地が悪そうに目を逸らした。
「…ど、」
「「どういうことぜよーーーーーーー！？」」
ふた振りの陸奥守吉行の叫びがシンクロして本丸中に響き渡った。
彼らは光の速さで移動し、初期刀は自分の主の。よっちゃんは鶴丸の肩をガシッと掴んで、激しく揺さぶる。
「おんしゃあ…おんしゃあ、なして黙っちょったんじゃ！！ホウレンソウは基本中の基本だと、ぎっちりゆうてるのはおんしやか！」
「ほ、報告しなかったのは悪いと思ってま〜すよ？でも、そんな事言ったら貴方絶対鶴丸さん撃つと思って…」
「あ た り ま え じ ゃ ！ ！」
「」
普段、あまり声を上げることのない初期刀に叱られて、思わず芥子はミッフィーになった。
「鶴丸…」
「…い、今はそんな事考えてないぞ！？…ただ、」
「静かにしちょき」
「あ、ハイ。」
その後、鶴丸の頭には大きなたんこぶが出来た。
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蒼(プロフ) - 某僕と契約して魔法少女になってよ！！な清光がいて爆笑しました。表紙も大好きです。好きです。 (11月13日 19時) (
レス) id: 2e07dff5be (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 表紙から爆笑でした。ありがとうございました。 (2021年1月29日 18時) (レス) id: 348703d198 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです……!!テンポが良くてとっても読みやすかったです(*´▽｀*)続きが気になります(*ﾉωﾉ)気が向いたらで良いので、更新してくださると嬉しいです(о´∀`о)どうかお体に気を付けてお過ごしください。コメント失礼しましたm(_ _)m (2021年1月29日 17時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
イケ(プロフ) - 面白いのにもったいない (2019年11月26日 18時) (レス) id: 85ff92ecab (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです！完結おめでとうございます！ (2018年11月15日 13時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ムカデ | 作成日時：2016年12月11日 23時
