おのれ狸：陸拾捌 ページ25
芥子は、前に立った二人をいなして下がらせる。
そして、懐から指示棒を取り出して伸ばし、表示されたグラフを指し示した。
「良いで〜すか？私は別に貴方がたが不出来と言っているのではありません。ただ、貴方がた刀剣男士の強さの基準である練度…つまり経験値が足りないと言っているんです。」
「例えば、この本丸ではそこの…よっちゃんさんが練度が上限99まで達しています。これをカンストと言います。しかし、あまり戦に出されてこなかった方達はその半分だったり、それ以下の数値になっていたりするでしょう？これが強さの格差。練度の格差です。」
「つ〜ま〜り〜」
間延びした声のあとに、スパン！と乾いた音を立てて指示棒の先が彼女の手に収まった。
和泉守の丸く見開かれた目と目が合う。
「戦で戦えば戦うほど、鍛えれば鍛えるほど貴方がたは強くなる。強くなれば、強くなるほど守りたいものを守れるようになる。私達は闘わねばならない、力を蓄えなければならない。」
「だから出陣します。これは決定事項です。舐められたくないなら、せいぜい強くなる事で〜すね〜」
以上、終わり！と芥子は座に戻り、これで文句があるなら言えと不安分子達に目で語った。
筆頭である和泉守は、まんまと煽られて怒りに口をはくはくと動かすが、ぐっと堪え黙って乱暴に腰を下ろす。
他も同様。それ以後、異議を唱えるものが出ることはなかった。
二人の近侍はほっと胸をなで下ろす。
芥子はそれを合意と認識し、静かに頷いた。
「では…これより肥後国、審神者Aの本丸は任務遂行を開始します！目標は全員練度60以上達成！スパルタで行きますよーーーーー！！」
「「おおおおおおおおお！！！」」
一匹の審神者と、三十九振りの刀剣男士が野太い叫びをあげて拳を振り上げた。
ブラックとは言いつつも、なんだかんだノリのいい本丸であった。
陰でその様子を見ていたこんのすけは、そっと涙を拭いた。
「よかった…どうなるかと思いましたが、きっとあの方なら…」
夕暮れ時の大広間に爽やかな風が流れていく。それは、新たな彼らの門出を祝福しているようだった。
だが、彼らは知らなかった。
これからこの本丸が「唐辛子本丸」「鬼畜本丸」など、数々の異名と功績を買って行くということを。
そして、その審神者のお陰で奇妙な縁が結ばれていくことを。
彼らは知らなかった。
＊＊＊
更新遅れてすみません。作者は受験生のため度々遅れます
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蒼(プロフ) - 某僕と契約して魔法少女になってよ！！な清光がいて爆笑しました。表紙も大好きです。好きです。 (11月13日 19時) (
レス) id: 2e07dff5be (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 表紙から爆笑でした。ありがとうございました。 (2021年1月29日 18時) (レス) id: 348703d198 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです……!!テンポが良くてとっても読みやすかったです(*´▽｀*)続きが気になります(*ﾉωﾉ)気が向いたらで良いので、更新してくださると嬉しいです(о´∀`о)どうかお体に気を付けてお過ごしください。コメント失礼しましたm(_ _)m (2021年1月29日 17時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
イケ(プロフ) - 面白いのにもったいない (2019年11月26日 18時) (レス) id: 85ff92ecab (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです！完結おめでとうございます！ (2018年11月15日 13時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ムカデ | 作成日時：2016年12月11日 23時
