おのれ狸：陸拾壱 ページ16
衝撃の波紋は一点から宴会の席全体へと広がった。
刀剣男士が刀のまま応えないことは黒本丸ではまま有りうる。
しかし、かの天下五剣が、受肉せずにわざわざその状態で肉声を発するなど前代未聞だ。
しかも
「いわとーし！みかづきが！みかづきが浮かんでます！」
微妙に浮かんでいた。
「…能天気が過ぎて頭だけでなく刀身まで綿花になったのか」
「いや、審神者に対する怒りや憎しみでさらに霊力が高まったんじゃないかな…穏やかな声の裏に何を隠してるかわかったもんじゃないよ…」
『はっはっは。岩融、石切丸、俺もそろそろ怒るぞ？？』
「「コイツ、心に直接…！？」」
「ぅわ、気持ち悪ッ」
お陰で、広間はやいやいと一気に賑やかになった。
芥子はそんな様子を眺めながら、気絶したこんのすけを座布団に乗せると、丸い黒目を瞬かせて三日月宗近を再び掴んだ。
霊力で皮膚にピリッとした痛みが走る。
「…で、激おこプンプン丸宗近さん」
「三日月宗近だ」
「…三日月さん。率直に聞きますけど…貴方は元の主の手元に戻りたいですか？」
「戻りたい」
三日月宗近は即答した。刀身のため表情は見えないが、穏やかだが、確かな決意に溢れた声だった。
「…俺が、主に直接会ったのはたった一度きりだ。しかし、売られた今でも彼が俺の主だ。だからこそ、ここの前任の顕現にも応じなかった…それだけのことよ。」
「その状態で出来ることは？」
「意思疎通とちょっとした霊障は得意だぞ。じじいはお茶目でな、時々ヤツの小指がカドにぶつかる様に仕向けたりしていた。」
「あら、お茶目ですね〜」
お茶目とは。
近くで聞いていた山姥切国広は、複雑な心境で突っ込むのをなんとか堪えた。
芥子は頷きながら手帳に書き込み、それを閉じた。
「わかりました〜。こちらも目障りな人たちには消えて欲しいで〜すし、出来るだけ調べてみます。それまで、あなたを客人として預かりましょう」
「ありがたい、宜しく頼む」
三日月はゆったりとした動きで、まるでお辞儀のように等身を傾かせて戻した。
「…そんなわけで、こんのすけさん。働いてもらいますよ〜」
「ブラック企業…」
「失礼な」
こんのすけは精神的負担とオーバーワークに音をあげた。
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蒼(プロフ) - 某僕と契約して魔法少女になってよ！！な清光がいて爆笑しました。表紙も大好きです。好きです。 (11月13日 19時) (
レス) id: 2e07dff5be (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 表紙から爆笑でした。ありがとうございました。 (2021年1月29日 18時) (レス) id: 348703d198 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです……!!テンポが良くてとっても読みやすかったです(*´▽｀*)続きが気になります(*ﾉωﾉ)気が向いたらで良いので、更新してくださると嬉しいです(о´∀`о)どうかお体に気を付けてお過ごしください。コメント失礼しましたm(_ _)m (2021年1月29日 17時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
イケ(プロフ) - 面白いのにもったいない (2019年11月26日 18時) (レス) id: 85ff92ecab (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです！完結おめでとうございます！ (2018年11月15日 13時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ムカデ | 作成日時：2016年12月11日 23時
