おのれ狸：伍拾捌 ページ13
「心が洗われるって、こういうことを言うんでしょうか…普段拷問してばかりなので、なんだかとても新鮮で〜す…」
「ツッコミどころはありまくりですが、その通りですね…皆様のあんな顔、私初めて見ました。油揚げ…はぐー…」
芥子は広間をぐるりと見渡して、コップに立てられた野菜スティックを咀嚼する。
誰も彼もが涙を流し、ひたすらにご飯をかきこむ姿は本当に暖かだと、彼女は思った。
それは、同時に神に人間の食べ物を与えて堕落させているとも考えられるが、正直、線引きは曖昧だった。
彼らはこちらの線引きしだいで、神にもなるし、妖怪にもなるし、人間にもなる。
芥子が思うに、この本丸の者達は「人間に近しい神｣なのだ。感情表現が豊かで、悲しい時には涙を流すし、憎しみも表に出す。
あの前任はよく暴言を吐いていたようだから、もしかすれば、罵倒されることによって、それが''屈辱的な事なのだ''と刷り込まれたのかもしれない。
(人間による冒涜が、付喪神に人間性を植え付けたとしたら…)
それは随分気に入らない話だ、と芥子はグラスを煽った。
「…そういえば、おんしがあの男からぶん取りゆうた刀。あれも確か刀剣男士じゃろ？顕現しやーせんがか？」
ふと、思い出したように陸奥守が言った。
そう、前任から奪い取ったあの刀。天下五剣が一振りにして、最も美しいとも言われる刀。刀剣が増えた今でも難民と言われる者達は多い。
それを芥子は
「え？…あ〜、そういえばありましたね〜」
すっかり忘れていた。
「そうですよね〜。確かにあの方も刀剣男士です。すっかりさっぱり忘れてました〜」
「おんし…」
芥子は、うっかりうっかりと頭を掻きながら風呂敷から一振りの刀剣を出す。すると、今まで泣いていた者達がバッと彼女らに一斉に顔を向けた。
「ん？どうかしました？」
芥子は首をかしげた。
「あ…いや、その…」
しかし、皆一様に気まずそうに口ごもって何も言わない。何か言いにくいことでもあるのか。
「まあいいです。ばっちこーい」
「ッちょーーーー！？」
誰かの制止の声も間に合わず、軽い掛け声で芥子は手中の刀剣に霊力を込めた
筈だったのだが、
「…おや？」
「あれ？」
「おろ？」
刀剣が人の形を模すことはなかった。
三日月宗近と呼ばれるその刀は、ピクリとも動かずに霊力を込める前と同じ状態で芥子の手の中に収まっていた。
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蒼(プロフ) - 某僕と契約して魔法少女になってよ！！な清光がいて爆笑しました。表紙も大好きです。好きです。 (11月13日 19時) (
レス) id: 2e07dff5be (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 表紙から爆笑でした。ありがとうございました。 (2021年1月29日 18時) (レス) id: 348703d198 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです……!!テンポが良くてとっても読みやすかったです(*´▽｀*)続きが気になります(*ﾉωﾉ)気が向いたらで良いので、更新してくださると嬉しいです(о´∀`о)どうかお体に気を付けてお過ごしください。コメント失礼しましたm(_ _)m (2021年1月29日 17時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
イケ(プロフ) - 面白いのにもったいない (2019年11月26日 18時) (レス) id: 85ff92ecab (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです！完結おめでとうございます！ (2018年11月15日 13時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ムカデ | 作成日時：2016年12月11日 23時
