おのれ狸：伍拾漆 ページ12
突出したコミュ力カンスト部隊により、大広間の雰囲気はぐっと盛り上がった。
芥子は酒の栓を開けてそれぞれの盃を満たしていき、野菜ジュースの入ったコップを片手に一つ咳払いをした。
「おほん。えー皆様、飲み物はもう注がれましたかね？…では、僭越ながら私審神者が乾杯の音頭を」
「…この日、この時が我らが本丸の再誕の刻です。悩める時もありましょう、矛盾もありましょう。しかし、どうか歴史を守る為に私の刀として欲しい。」
刀剣男士達は頷く。まだ、納得していない者達もいるが、高揚したその雰囲気に身を任せないのはナンセンスである。今日ばかりはと楽しむことにした。
短刀達の瞳がキラキラと輝く。こんのすけは「やっとこの日が…！」と感極まっていた。
つまりは承諾は、得た。
芥子はゆっくりとその手のコップを高く掲げる。
そして、大きく息を吸いこんだ。
「歴史修正主義者！ブラック審神者･ブラック政府を駆逐だオラァァァァァァァァ！！乾パーーーーーーーイ！」
「「乾杯ーーーーーーーーー！！！」」
芥子のドスの効いた咆哮と、男達の雄叫びが共鳴し、杯がぶつかる音と共に本丸中に大きく轟いた。
「ちょっとォォォォォ！？音頭おかしくないですかァ！？なんでそんなに血生臭いんですかァァァァァァァァ！？」
「仕方ないよ…だって、この本丸に平穏なんて訪れるはずがないもの。逆に、丁度いいんじゃないかな…凄く、心地が良いよ。」
「ぐぅ、重い！」
涙もちょちょ切れ気味のこんのすけは、小夜左文字のブラックを匂わせる、前向きとも取れる発言と微笑みを前に沈んだ。
最初がいい感じだっただけに、かなり哀れである。
さて、そんなこんのすけを尻目に宴会は始まった。まずは箸の使い方をレクチャーし、美味いご飯を食べて「美味しい」という感覚に触れてもらう。
慣れない手つきで、大の大人が箸を扱う様はとても微笑ましい。
それに、恐る恐るご飯を口に入れ咀嚼した後のあの顔！一人、また一人と食事に手を伸ばし、彼らは貪るようにご飯や味噌汁を食べた。
誰かの鼻を啜る音がした。誰かが「おいしい」と声に出した。
美味しい、美味しい
なんだろう、初めてのはずなのに
そうか、これが美味しいなんだ
いつの間にか彼らの頬には涙が伝っていた。彼らは「美味い」と言いながら、泣きながら食べた。
芥子と陸奥守は、それをただ静かに見守っていた。
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蒼(プロフ) - 某僕と契約して魔法少女になってよ！！な清光がいて爆笑しました。表紙も大好きです。好きです。 (11月13日 19時) (
レス) id: 2e07dff5be (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 表紙から爆笑でした。ありがとうございました。 (2021年1月29日 18時) (レス) id: 348703d198 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです……!!テンポが良くてとっても読みやすかったです(*´▽｀*)続きが気になります(*ﾉωﾉ)気が向いたらで良いので、更新してくださると嬉しいです(о´∀`о)どうかお体に気を付けてお過ごしください。コメント失礼しましたm(_ _)m (2021年1月29日 17時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
イケ(プロフ) - 面白いのにもったいない (2019年11月26日 18時) (レス) id: 85ff92ecab (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです！完結おめでとうございます！ (2018年11月15日 13時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ムカデ | 作成日時：2016年12月11日 23時
