おのれ狸：伍拾陸 ページ11
日も沈み、名残の赤が夜の暗さに飲み込まれんとした頃、綺麗に掃除された大広間にはズラリと長机と座布団が並べられていた。
芥子は宴の準備をするべく、酒の手配をしたり、人数分の皿や料理を机に置いたりと忙しなく走り回る。
刀剣男士たちは不衛生だからと大風呂に放り込まれ、陸奥守吉行監修のもと、体の洗い方と雑菌の恐ろしさを教えこまれていた。
初めてのことに戸惑いつつも、風呂という日本人の最高の娯楽には叶わなかったらしい。
彼らの表情はまるで、憑き物が落ちたかのようにサッパリとしていた。
そして、広間へと戻ってくれば豪勢な食事が用意されていて男士たちは目を見張るしかない。
「おい、白米があるぞ…魚に肉、海老もだ。」
「酒もある。でも油みたいな濁った酒じゃない…上等なやつだ！！」
「な、なんて贅沢な…！」
男士達は、昔なら大変贅沢であっただろう食事を戦々恐々としながら襖から眺めた。
本当に自分達が食べていい物なのか。お膳は人数分あるのだからそうなのだろうが、入るタイミングを見失って入れない。
「…」
先頭の和泉守は暫く顎に手を当てて考え込んだ末、静かにその襖を閉めた。そして、皆の方に向き直り、神妙な顔で口を開く。
「…一旦、出直そう」
「いや、入れよ」
加州が冷静にツッコんだ。
「…さて、皆々様もお揃いのようで〜すので、早速宴を始めさせていただきます。司会は私、審神者のAです。今宵は無礼講…どうぞ、皆様お楽しみください。」
上座の席から下り、右を加州清光。左を陸奥守吉行に固められた芥子がそう切り出すと、控え目ではあるが嬉しげな拍手と歓声が上がった。
まずまずいい反応だ。芥子はここから盛り上げるべく、可愛らしくも饒舌な口で一気に巻き上げにかかった。
「お料理は歌仙さん、燭台切さんのおふた方に手伝って頂き、作りました。お肉やお酒が駄目な方のためには精進料理とお茶、ジュースをご用意しておりますのでご心配なく。」
「ちなみに、お酒の方は地獄から取り寄せました、大吟醸数種を揃えております。」
この時にわっと先程とは比にならない声量の歓声が上がった。酒好きたちの咆哮である。
「ヒュー！！審神者ちゃん愛してるー！！」
「地獄産…？飲んでみてぇな！！」
「甘味！甘味もありますか！」
計 画 通 り 。
周りのテンションが高ければ、人はそれに順応するもの。芥子は後ろで小さく拳を握った。
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蒼(プロフ) - 某僕と契約して魔法少女になってよ！！な清光がいて爆笑しました。表紙も大好きです。好きです。 (11月13日 19時) (
レス) id: 2e07dff5be (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 表紙から爆笑でした。ありがとうございました。 (2021年1月29日 18時) (レス) id: 348703d198 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです……!!テンポが良くてとっても読みやすかったです(*´▽｀*)続きが気になります(*ﾉωﾉ)気が向いたらで良いので、更新してくださると嬉しいです(о´∀`о)どうかお体に気を付けてお過ごしください。コメント失礼しましたm(_ _)m (2021年1月29日 17時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
イケ(プロフ) - 面白いのにもったいない (2019年11月26日 18時) (レス) id: 85ff92ecab (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです！完結おめでとうございます！ (2018年11月15日 13時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ムカデ | 作成日時：2016年12月11日 23時
