第1章 -Search- ページ2
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「はじめまして、Aと言います」
「にじさんじ所属バーチャルライバーの黛灰。どーぞよろしく」
初めての会話は、そんな当たり障りのないものだった
詳しい経緯は覚えていないけど、確か誰かの紹介で知り合った…はず
女性にしては低く落ち着いた声だったからか、耳心地が良かったのは覚えている
彼女は、にじさんじに所属しているわけではなく、個人で活動をしているらしい
そして、歳は俺より下だと言うことだけ教えてくれた
大体現れるのは夕方から夜だから、本業が他にあるのだろう
社会人か…学生か…
答えの得られない問いを考えていると、前方から声をかけられた
叶さんだ
「まゆゆも今日スタジオ来てたんだぁ」
柔らかい笑みを浮かべてそう言う叶さん
そうだ、彼女について聞いてみよう
人脈の広い叶さんなら何か知ってるかもしれない
そう思ったけれど、首を傾げているから心当たりがないらしい
後から合流した葛葉さんもキョトンと目を丸めていた
本当に知らない顔ようだ
「そのAさん?…どうかしたの?」
『いや、知らないのなら別に…』
わざわざ伝えることでもないし、彼女もあまり配信はしていないと言っていた
知る機会がそもそも少ないのだから、仕方がないのだろう
「あ!そういや、まゆ。今回は何企んでんだ?」
『企むって…なんの事?』
ここ最近の出来事を思い返しても、思い当たるものがない
本当に分からないという雰囲気を出すと、2人は顔を見合わせた
「本当にわからないの?」
「これだよ、これ。他の配信でもちょくちょくあるぞ」
そう言って葛葉さんが見せたスマホの画面には、彼女と話をした配信が流れていた
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