グラッジ (ページ1)

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青年ページ1

コツ、コツ、と床が響いている

その青年は少し長い黒髪を揺らしながら歩いている

その後ろには何かに背中を斬られた人間が倒れている

その青年は手に持っていた刀を鞘に納めた

その時、雨が降ってきた

雨が降ってきたがその青年は気にせずに歩く

やがて盆を覆す様に降ってきた

青年はとある建物の前に足を止める

少し乱暴気味に扉を開ける

中は吐き気を催すような光景だった

そこら中に人間だったものがあたり一面に転がって普通の人ならとっくに気絶しているところだろう

青年はそれを避けたりはせず気にせずに歩いている

青年はとある扉の前で止まり扉を開けた

そこはさっきの部屋よりはマシだったが中々に酷い有様だった

青年はとあるベットの前で止まった

布団を青年はゆっくり捲った

白皙の肌に雪のように美しい髪が生えていた

とても美しい天使のような子供だった

しかし、汚れた服を身にまとっていなかったら誰もが天使と間違えるだろう

よく見てみると白皙の肌は青い痣で顔には切り傷があった

身体も心配なほどやせ細っておりどう見ても虐待を受けているのは明確だった

青年は少し考えた後にその子供を抱き上げた

青年は軽いと思いながらゆっくりと入り口に向かった

外に出ると雨は止んでいた

青年は雨が止んだ後の晴れはあまり好きではない

昔のことを少し考えながら青年は自分の住む家に向かった

ゆっくり、ゆっくり、寝ている子供を起こさない為に