私は師匠を信じない【HUNTER × HUNTER】

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「あれ、なんなんですか」
「どれの話？」
「あの影ですよ！あれはなんなんですか！」
「ボクが知りたいね。キミの念じゃないの♤」
「ネンってなんですか」
「知りたがるねキミは…なぜなぜ期かな♧」

なぜなぜ期の意味がわからない少女でもバカにされている事はわかった。当時の少女は5歳。実際なぜなぜ期には当てはまる。

「…まァ、知らなくて良いって訳でも無いね」

そう言ってヒソカはトランプタワーの手を止め、立ち上がり携帯をいじる。少し躊躇したように手を止めてから、比較的よく使う番号に発信した。

「…あぁ、イルミ♢ちょっとした小銭稼ぎしないかい？」

＊

「必要ない。じゃ。」
『ウン、もう少し話聞いてくれない？』

イルミは死体の片付けをしながら依頼者に払込の催促のメールを送る。携帯から聞こえる不快な音を切ろうと指を動かすが、不快な音の背後から聞きなれない高い声が聞こえた。

「…なんの声？」
『ボクの愛弟子♡』
「…弟子？」

贔屓の死体処理専門業者に指示を出し、自分はヘリを呼んで帰り支度を進める。

「…もしかして、あの時の子ども？」
『そ♧』

生かしていたのか。…まあ、あの家の子どもだ。ヒソカの『おめがね』に適うのも頷ける。

『興味あるかい？』
「…まあね」
『なら丁度いい』

『キミ、彼女に念の基礎を教えてやってくれないか？』
「…念の？」
『そ。纏と…あと発を習得している様だ♧』
「…へぇ」

確か、あの子どもをヒソカが引き取ったのは去年の今頃。俺の記憶が確かなら4、5歳程だった筈だ。

「発を既に習得済みか。順序が随分あべこべだな」
『そうだね…だからキミには是非、練と絶その他の座学を教えてやって欲しいんだけど♤』
「お前がやれよ。じゃ。」
『師匠じゃダメなんですよ！この人言葉で教えるのびっくりするぐらいヘタなんです！』
『ちょっと♧』
『ネンもテンもハツも聞いても答えてくれない！私の影が何なのかも！』

突然ハッキリと聞こえだした子どもの声にイルミは顔を顰める

「スピーカーにしてたの？」
『ウン。彼女にも関係ある話だろ？』

目を細める奇術師の顔が目に浮かんで、イルミはひくりと下瞼を動かした。

『じゃあ気が向いたら来ておくれよ。報酬の話はその時にしよう♡』

ツー、ツー、と電話の切れた音が鳴る。言うだけ言って切りやがったな。

「…『影』ね。」

イルミはヘリの後ろの座席から意味もなく窓の外を眺めた。

「…ねえ、」
「はい、イルミ様」

「…ちょっと、寄り道して」

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