私は師匠を信じない【HUNTER × HUNTER】

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「え、修行禁止されたの？」
「そ。ゴンが無茶するからな」
「んー、試合するように煽った本人だから何も言えないけど、ドンマイ」
「ホントだよ全くもう」
「お前らちゃんと反省しろよ」

ベッドの上のゴンを囲って、ぺちゃくちゃ話ながら食べる食事はとても行儀が悪くて、いつもより美味しく感じた。

「で、キルアは律儀に待ってあげてるんだ。ヤサシーじゃん。」
「俺はさっきまで抜け駆けしてたハクジョーなヤツとは違うんだよ」
「んなっ！？」
「ハイ！！食事中！！喧嘩しない！！」
「「…ハイ」」

ミトの教育がキッチリ行き届いているらしい。この二人と付き合い始めてゴンの喧嘩仲裁スキルはメキメキ上達している。

「…てことはそっか、二人に協力して貰うのは無理か。」
「協力って？」
「新技の習得！ほら、私の念って他者から…」

そこまで言って少女はあー、と天を仰ぐ。

「コレも『念を調べる行為』に相当するか。」
「するな。」
「うん。」
「ムズカシーなぁ。」

スプーンを咥えてキコキコと椅子を動かす。

(私の念…まだまだ課題が山積みだ。)
(そして何より…)

少女はシルバとのお茶会での出来事を思い出す。親交のあった暗殺一家の話をされて、それで…

＊

「…やっぱり変わってる」

数年前は操作系の反応を示していた筈なのに、今目の前に広がっているのは、ワイングラスから水がびちゃびちゃに溢れかえった光景。

(系統が変わるなんて事あるのか？)

いや、それよりもマズイぞ。執念深い星(ヘイトイーター)は操作系を軸にした能力。コレを基盤に新技を作るつもりだったがそうもいかなくなってしまった。

(血液の流れが滞ると酸素欠乏症になる。操作系は必要不可欠だ。)

…逆によく今まであそこまで精密な操作を出来たものだ。

少女は傷が塞がりかけていた指からルビーを生成する。

(…なんで私は操作出来てるんだ？)

指先のルビーはずっと鮮やかに輝いて、黒く濁らない。

(……？)

(…操作、しているのか…！？)

とんでもない事実に気づいてしまった、と少女は思った。最終試験前の一夜漬けの時は確かにそうだった。でも今はどうだ？「なんとなく」「自然に」していないか？

ドッと汗がふきだす。これは確認しなくてはいけない。

もし今の執念深い星(ヘイトイーター)が、操作系だった頃の『名残』で使えているのだとしたら。

これから使い続ける事が出来なくなる！

「…あの人に聞いてみよう」

念に詳しい、あの人に

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