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「野坂くんから聞いたの。でも、ヒロトは内緒にしてって言ってたんでしょ？」
「あの野郎……」
なんでもかんでもチクりやがって。後で覚えてろよ。
「たくさん迷惑かけた分、ちゃんと返すから。今回のツアーも、ヒロトのおかげでやれるんだもん。成功させて、ヒロトのお父さんにもちゃんと返さないと」
「別に、んなこと気にしなくていいんだよ」
Aは手に持っていたものをこちらに差し出す。
「だから、今回は、これは置いていく。ヒロトが持ってて」
ステージからわずかに零れる光がそれを照らす。おれに渡されたのは、Aのエイリア石だった。
「不安だけど……もう裏切ったりしない。だから、見ててほしいんだ」
Aの瞳には、頼りない光が灯る。
まだ全てを納得したわけではないのだろう。
それでも、今は前を向いている。
おれは石を胸にあて、しっかりと頷いた。
Aは踵を返すと、光の元へ走っていく。
歓声が弾けて、会場の熱気が一気に上がったのがわかる。
おれは壁にもたれて、薄暗いステージ袖からAを見ていた。
迷いながらでいい、歩き続けてさえいれば。
生きていくことがどういうことかなんて、本当に知っている人は、いないのかもしれない。
それは、いつか見つかるかもしれないし、最後のときまで、なにも掴めないままかもしれない。
それでも、続けることに意味がある。生き続けていくことに。
何度も裏切ってしまったけど、たくさん嘘もついたけど、それでもあの場所を、大事なものを、Aは守ると決めた。
そこには眩いほどにきらきらとしたAがいた。
あの空に輝く月のように。
終わり←scene287
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ペナ紅 - やっぱ電話の相手、半田だったんだ…！ (2021年7月5日 16時) (
レス) id: 173b2b90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのわたし(プロフ) - 完結おめでとうございます。高い文章力ですごく引き込まれました。私事ではありますがわたしは基山ヒロトが好きで吉良ヒロトがどうしても好きになれずこの小説を取っ掛りとして読ませていただきました。あなたの作品で彼のことを好きになれました。 (2020年12月8日 18時) (レス) id: 0a912f5e29 (このIDを非表示/違反報告)
りと - 完結おめでとうございます！丁寧かつ読みやすく想像しやすい文章でサクサク楽しく拝見できました！個人的には甘くない終わりにくそぅ！と思いつつでも現実だったらそうだよなぁとしみじみ受け止めました。笑 また是非に文字を書き続けてください！応援しております！ (2020年11月22日 15時) (レス) id: 4c41bf9741 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - とっても楽しく読めました！大好きな作品です！完結おめでとうございました！ (2020年3月17日 10時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
鬼跡 - 完結おめでとうございます⊂((・x・))⊃この作品本当に大好きでした！！！！大好きです！ヾ(＠⌒ー⌒＠)ノ (2019年12月18日 18時) (レス) id: 8e87660fcc (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年8月22日 20時
