scene241 ページ41
次の日の朝、おれはランドリールームの長椅子に腰かけて、洗濯機が回る様子をじっと眺めていた。
なんでこんなところにいるのかというと、朝食のオムレツをTシャツにこぼし、ケチャップのシミをつけてしまったからだ。
考え事をしていると食事をこぼすくせがあるのかもしれない。
そういえば、前にAがこうしているところに遭遇したことがあったな。
あのときは、なにしてんだと呆れたけど、こうして見ているとまあまあおもしろい。
聞こえるのは洗濯機の回る音と、ごうごうという換気扇の音。広々として無駄なものがないこの場所は、物思いにふけるには適した環境かもしれない。
「どうすっかな……」
白いTシャツがもみくちゃにされるのを見ながら、ため息みたいな言葉が口から出る。
Aの口から話してもらえるのが一番いいんだろうけど。だからって、おれにできることはなにがあるんだろう。
なんでも受け止めるから話してくれって言ったって、それは相手に強要しているのと変わらない。
自分はAの支えに少しくらいはなっているんじゃないかと、どこかで思っていた。
だけど、急に自分が無力に思えてきた。
おれは野坂みたいに頭も良くないし、風丸さんみたいに頼れる訳でもない。吹雪さんみたいな気遣いもできない。
野坂だったら、上手いこと聞き出すんだろうな。
あいつはどうするつもりなんだろう。今朝の感じだと、もう気にしていない様子だったけど。寝たら忘れるタイプなのか？
不意に廊下の方から人の声が聞こえて、おれの意識がそちらへと向く。
足音と共に、話し声が近付いて来る。たぶん、円堂さんと風丸さんだ。円堂さんは声がでかいからすぐわかった。
話している内容はわからないけど、薄っすらと「サッカー部室」というワードが聞こえる。
ランドリーの入り口の方に目をやると、円堂さんがひょっこりと顔を出した。
「ヒロト、こんなとこにいたのか」
風丸さんがその隣に並ぶ。
「サッカー部室がどうかしたんですか」
おれはつい気になってそう訊いた。
すると円堂さんの表情がぱっと明るくなる。
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鈴松信@誤字り姫@しんしん[受験により低浮上](プロフ) - コメント失礼します!面白くて一気読みしちゃいました!向こうの世界からオリオンの世界にエイリア石で来る…っていう考えが私の作品と似ていて凄く興味を惹かれました!更新無理せずにファイトです! (2019年6月11日 17時) (
レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年6月2日 1時
