scene211 ページ11
「その石は、Aちゃんが飛び降りた理由に深く関わっているんでしょ。このまま出てこなければ、悲劇の種を葬り去ってしまうこともできる。だけど、それは解決の糸口さえ失くしてしまうことになりかねない」
おれの意識が一瞬で現実に引き戻された。
「Aが飛び降りたことに関係あるって、おれ言ったっけ……？」
「Aちゃんにもらったとしか言っていなかったけど、それくらい、なんとなくわかるよ」
わかるのか、なんでわかるんだ。
「ヒロトくんは隠し事が下手だからね」
おれの考えを見透かしたかのように、野坂が言う。
「……すげえな、お前」
「別にすごくないよ。ヒロトくんがわかりやすすぎるんだよ」
「そうかよ……」
また睡魔が襲ってきた。瞼が重そうなおれに、野坂は「寝てていいよ」と言う。
その言葉に甘えて、おれは目を閉じる。
だんだんと薄れていく意識の中、ぼんやりと考える。
忘れたからって、消えてしまったからって、それは、なんの解決にもなっていない。
全部、ちゃんと見た上で、知った上で、それからどうするか。おれはどう思うのか。Aはどう思うのか。
全てを知ることはできない、全部分かり合うことはできない。でも、隠されていたものを知ったとき、おれはどうするんだろう。Aの為に、なにができるんだろう。
そうしているうちに、いつの間にか眠ってしまったらしい。
・
合宿所に戻ると、食堂がなにやら騒がしい。
みんな集まって、神妙な面持ちでいた。
「どうした？」
「あ……おかえり、ヒロト」
入口付近にいたタツヤに声をかける。
次にタツヤが言った言葉に、おれは耳を疑った。
「実は……Aちゃん、マネージャーをやめたらしいんだ」
おれは目を見開いた。
「……え？」
「さっき、監督から話があって、数日前にAちゃんから、やめることを伝えられていたらしい」
「ちょっ……ちょっと待て」
頭が追い付かない。Aがマネージャーをやめた？
「な、なんで急に……」
「アイドルの仕事に専念したいって言っていたらしいよ」
仕事に専念って、どんなに忙しくても、あんなにマネージャーの仕事を大切にしていたのにか。
信じられない。本当にAがそう言ったのか。
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鈴松信@誤字り姫@しんしん[受験により低浮上](プロフ) - コメント失礼します!面白くて一気読みしちゃいました!向こうの世界からオリオンの世界にエイリア石で来る…っていう考えが私の作品と似ていて凄く興味を惹かれました!更新無理せずにファイトです! (2019年6月11日 17時) (
レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年6月2日 1時
