scene94 ページ44
雑誌を受け取った西蔭は、代わりに小さく折りたたんだ紙を手渡した。野坂はそれを広げてざっと目を通してから言った。
「Aちゃんは飛び降りる2週間くらい前から、マネージャーに休みが欲しいと打診していたらしい」
「は……？」
いや、ちょっと待て、なんだその紙。
おれの視線に気づいたのか、野坂は紙を持ち上げて言った。
「西蔭にはAちゃんの所属事務所に行って、いろいろ聞いてきてもらったんだ」
マジかよ、そんな大役を任されていたのか。
おれが西蔭の方を見ると、西蔭は無表情のままおれと目を合わせた。
「実にAちゃんらしいね。仕事に穴を開けないように、という配慮かな」
野坂の手元の紙を覗き込むと、ちょうど飛び降りた日からAは休暇に入っていて、その後の仕事にも大きな影響は出ていないとのことだった。
「これで飛び降りたのは計画的だったということは、ほぼ明白だね。なんともAちゃんらしいというか……、こういう気配りをするということは、事務所への復讐とか、そういった線も消えてくるだろうね」
「確かに……。アイドルとしての仕事に嫌気がさしていたのだとしたら、自分が居なくなった後の仕事についてなど、気にすることはないでしょうし」
西蔭も野坂に同調する。
「そして、もう一つ」
野坂はその下の項目に目を移す。
「Aちゃんはロケで地方を訪れた際、各地の中学校を訪問していたらしい」
「中学校？」
「そう、空き時間を利用して行きたいところがあると、マネージャーに話していたらしいんだ。学校での目撃情報があるのは、福岡、京都、沖縄などだね」
「なにしに行ってたんだ……？」
「さあね、そこまではわからないけど、これもなにか関係があるかもしれないし、一応心に留めておこう」
学校か……友達にでも会いにいってたのか。
「練習始まりますよ」
一星がおれらを呼びに来た。野坂は紙をロッカーにしまい、何食わぬ顔で「今行くよ」とロッカールームを出て行った。
取り残されたおれと西蔭は顔を見合わせる。
「なあ……お前はどう思う？」
西蔭はおれの顔を見て「どうとは？」と無表情で訊く。
「Aが飛び降りた理由だよ、お前も野坂からいろいろ聞かされてんだろ」
西蔭は少し考えてから「わからん」ときっぱり答えた。
「まあ、そうだよな……」
「おれは野坂さんが知りたいというから、協力しているだけだ」
あくまでAには興味ないってか。
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楓 - 福岡、京都、沖縄...陽花戸中、漫遊寺中、大海原中ですね。立向居や木暮、綱海がいるか確かめにでも行ったのでしょうか...。でも、夢主ちゃんの世界にヒロトは存在していない、と聞いたとき、ヒロト本人はどう思うのでしょうか...続きがすごく気になります！ (2019年2月17日 17時) (
レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 無印時代からアレス時代に来るとき、雷門中から飛び降りたことで夢主ちゃんがこの時代に来れたとか...？色々想像できて楽しいです！頑張ってください！ (2019年2月15日 13時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 初コメ失礼します！！もしかして夢主ちゃんは無印時代から来た子ですか！？アツヤ見て泣いたのも、ヒロトを見てビックリしたのもつじつまが合いますし...。(アツヤが生きてて嬉し涙、ヒロトがタツヤと全然似てなくて驚き)いつも応援しています！！ (2019年2月12日 3時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すごく場面場面が入ってきてとっても読みやすいです！続き楽しみにしています♪ (2019年2月11日 22時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
はずにゃん☆ - こんな感じの小説待ってましたー♪投稿頑張て下さい。 楽しみにしています！ (2019年2月9日 14時) (レス) id: f86bddf786 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年2月8日 17時
