scene85 ページ35
・
その日の夜、おれは野坂の部屋に呼ばれた。
なんか作戦会議をするとかで、夕食の後すぐに来いとのことだった。
階段を上りきったところで、どこかの部屋のドアが開く音がして立ち止まる。
音がした方を見ると、不動さんが部屋から出てくるところだった。
不動さんはドアを閉じたところで固まっていた。なんだか険しい表情をしている。
あれ？ つーかあの部屋……。
じっと見ていると不動さんがおれに気付いた。狼みたいな鋭い目で睨まれて、心臓がどくりと音をたてる。
不動さんはおれを気にする様子もなく、横を通り過ぎて、階段を下りて行った。
おれは振り返ってその背中を見送る。
……不動さんが出てきたのって、Aの部屋だよな。
一体、Aの部屋でなにしてたんだ……？
「ヒロトくん、こっちだよ」
野坂が部屋から顔を出した。
「なかなか来ないから、迷子になってるのかと思ったよ」
「合宿所で迷子になるわけねえだろ」
おれは胸のあたりになにか嫌なものを感じたまま、野坂の部屋に入っていった。
・
「西蔭は？」
部屋に入ると西蔭の姿がなかった。また追い出されたのだろうか。
「会議のお供にお菓子でもと思って、買い出しに行ってもらってるんだ」
「それパシリっていうんだぞ……」
「そうなの？」
野坂はきょとんとした顔だ。マジで不憫だな、あいつ。たぶん喜び勇んで出かけていったんだろうけど。
「適当に座ってよ。あと二人来るから」
「は？」
おれと野坂だけじゃねえのか。あと二人って、だれだ？
「入るぞ、野坂」
「こんばんは」
ドアが開かれ、入って来たのは風丸さんと吹雪さんだった。
「ご足労いただきありがとうございます」
野坂が恭しく先輩二人を招き入れる。
「なんだヒロト、そんなしけた顔して」
ぽかんとしているおれに気付いて風丸さんが言った。
「二人にも協力をお願いしたんだ。風丸さんは、ぼくやヒロトくんよりAちゃんと付き合いが長いし、吹雪さんもAちゃんが特に仲のいい先輩の一人だからね」
野坂が言った。
「ぼくたちも、なにか力になれることがあると思うんだ。よろしくね」
吹雪さんが柔らかく微笑む。
野坂がこんなに的確に、Aに近しい人物を引き入れてきたということに少し驚いたが、二人が加わることは心強かった。
「はい……」
ぶっきらぼうなおれの返事にも、風丸さんと吹雪さんは力強く頷いた。
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楓 - 福岡、京都、沖縄...陽花戸中、漫遊寺中、大海原中ですね。立向居や木暮、綱海がいるか確かめにでも行ったのでしょうか...。でも、夢主ちゃんの世界にヒロトは存在していない、と聞いたとき、ヒロト本人はどう思うのでしょうか...続きがすごく気になります！ (2019年2月17日 17時) (
レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 無印時代からアレス時代に来るとき、雷門中から飛び降りたことで夢主ちゃんがこの時代に来れたとか...？色々想像できて楽しいです！頑張ってください！ (2019年2月15日 13時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 初コメ失礼します！！もしかして夢主ちゃんは無印時代から来た子ですか！？アツヤ見て泣いたのも、ヒロトを見てビックリしたのもつじつまが合いますし...。(アツヤが生きてて嬉し涙、ヒロトがタツヤと全然似てなくて驚き)いつも応援しています！！ (2019年2月12日 3時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すごく場面場面が入ってきてとっても読みやすいです！続き楽しみにしています♪ (2019年2月11日 22時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
はずにゃん☆ - こんな感じの小説待ってましたー♪投稿頑張て下さい。 楽しみにしています！ (2019年2月9日 14時) (レス) id: f86bddf786 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年2月8日 17時
