理想 ページ36
「国木田さんの理想って何か、ずれてますよね」
「ずれているだと?」
何となく、ただ何となく呟いたAの一言に国木田は顔をしかめた。
「理想の女性像が最高にやばいじゃないですか」
嫌なものを思い出した、そう言いたげにAの顔色はさっと青白いものへと変わった。
勿論、それを聞いて黙っていられる国木田ではない。
「太宰に続いて貴様もか朝霧!あまり俺を怒らせるな」
「勝手に怒っているだけでしょ」
今にも椅子から立ち上がり殴り倒さんとばかりにAを睨みつけるA。それを見て眠そうな猫のように目を細めるが、誰も野次や仲裁をする事は無かった。関わるだけ無駄な様子で横目に見ていた。
「まあまあ、国木田さん落ち着いて下さいよ」
「落ち着けるか!」
「この前の拳がいい感じに決まってて嫌に響くんですよ。国木田さんの声が」
「知るか」
「鬼め。とにかく、理想はずれてても真っ直ぐさは良いと思いますよ」
突然の言葉に国木田は耳を疑った。話の流れを一刀両断でもするようなその言葉に横目で見ていた社員達も何が起こったのかと仕事は何処へやら、2人に目を向けた。
「暇潰しです気にしないでください」
逃げるように猫の姿に変わったAは喉を鳴らしながら谷崎の膝の上に上がり目を瞑った。
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左目から鯖味噌(プロフ) - 結さん» 一夜と六夜しか未だ読めずにいますし、ひとつの夢と一夜の内容をかけたかったので夢一夜とサブタイトルを付けさせて頂きました主に短編、中編作品ばかり読んでいますが上手く物語に入れる事が出来るように頑張りたいと思います。コメントありがとうございます。 (2016年6月11日 12時) (レス) id: 7e4ff29a97 (このIDを非表示/違反報告)
結(プロフ) - 夢十夜ですね!私、大好きです!いつも応援してます。これからも頑張ってください。 (2016年6月11日 11時) (レス) id: df8cc1ba1e (このIDを非表示/違反報告)
左目から鯖味噌(プロフ) - Hiyoriさん» 感想ありがとうございます。楽しみにされた分、良いと思って頂けるような作品を作ることが出来たらな、と思っております。応援に応えられるよう、努力致します。 (2016年5月16日 23時) (レス) id: 7e4ff29a97 (このIDを非表示/違反報告)
Hiyori - 続きも楽しみにしてます!頑張ってください! (2016年5月16日 22時) (レス) id: 4584690b17 (このIDを非表示/違反報告)
左目から鯖味噌(プロフ) - konohaさん» いえいえ、お気になさらず。見て下さりありがとうございます。応援に応えられるよう、邁進致します。 (2016年5月15日 20時) (レス) id: 7e4ff29a97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:左目から鯖味噌 | 作成日時:2016年5月15日 17時