能ある異能力者は爪を晒す【文スト】

最強コンビ ページ29

「いやあ、楽しかったね動物園！」



「ずっとふれあいコーナーに居ただけじゃないですか。」



帰りの新幹線で不満を漏らすAに、にやにや笑いながら楽しかったと言う乱歩。予定より遥かに遅れ、昼過ぎに新幹線に乗った二人は国木田の説教を覚悟しながらそんな話をしていた。



「でも、楽しかったでしょ？」



「楽しかったですよ！」



乱歩は事あるごとにAを動物園や水族館へ連れて行く。楽しいからなのか、世話を焼きたいからなのかはよく分からないが。



敦には虎のキーホルダーを買っておいた。他の社員達は土産なんて要らないから早く帰ってこいと怒鳴りたいところだろう。



「明日は君の迷子のペット探しに付き合おうかなー」



「珍しいことを言いますね。」



そう？と笑う乱歩を見てAは何度も首を縦に振った。事件の時は腕を引っ張って連れていくくせに、こっちの仕事は行きたくなーいと首を横に振る。マイペースにも程があるだろう。



「て言うかさあ、Aくん。名探偵な僕は今やっと気づいたことがあってね？」



「何にですか？タコの足が八本でイカの足が十本ってことにですか？」



「いや、それじゃなくて…僕と君でコンビ組めば最強じゃない？」



「最強ではないかと…まあ、別にいいですけど。」



「えっ」



あっけなくコンビが成立してしまった。

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