能ある異能力者は爪を晒す【文スト】

予定 ページ27

ホテルに着くと多くはない荷物を置いて、入浴をした後Aは携帯を確認した。



国木田と、敦からメールがあった。太宰がメールを寄越してこないのは珍しいが気にすることではない。



国木田からは迷子のペット探しが数件来てること、敦からは京都が気になっているらしく出来ればお土産が欲しいと書いてあった。



「ねえAくん、駄菓子はー？」



「そこの袋に入ってますよ。」



ぱたん、と今時使う人はあまりいないであろう折り畳み式の携帯を閉じて部屋の隅に置いてある袋を指さした。



「ラムネは？」



「青いクーラーボックスの中に。」



呑気にクーラーボックスを開けてラムネを飲み始める乱歩を見てどうしたものかとAは頭を抱えた。



出来れば可愛い後輩である敦の願いは聞きたいのだが何時までに帰ってこいと威圧された国木田からのメールに逆らえずに居るA。それを見るに見かねた乱歩は楽しそうに口を開いた。



「Aくん、ちょっと明日観光しない？」



「はい？」



「そのはいは了解のはいだね？物わかりが良くて助かるよ。」



これはつまり、乱歩を理由にして国木田の指定の時間よりも遅く帰ろう。と言ったところだろうか？



「明日が楽しみです。」



こうでも言ってやらない限り乱歩は不満を漏らす。何より、いつもはすぐ帰る遠出の仕事が今日は観光も出来ることに囁かな喜びを感じるばかりだった。

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