借り ページ13
太宰が目を覚ました時、まず目に付いたのは跳ね返った髪だった。
「起きたか太宰さん。」
悔しげに舌打ちをした跳ね返った髪の主、Aの声が聞こえた。どうやら太宰の顔に国木田の拳がめり込んだ後、食事はお開きになってしまったのだろう、太宰を背負うA以外に見知った顔は居なかった。残念極まりない。
「起きたならさっさと降りてくれ。」
「起きてないよ」
がっしりとはしていない、少し弱々しい背中にそっと太宰は耳を当てて、微かに聞こえる心臓の音に縋るようにして目を瞑った。
「じゃあこれはあの時の借りを返したってことで。」
「それで構わないよ」
太宰はAに借りを作ったことがあった。自分の本当の姿を忘れ、少女の姿でさまよっていたところを太宰が保護し、人間失格を使って元に戻してやったことがある。
「あの時の女の子の君と心中したかったなあ。」
「ほざけ莫迦、落とすぞ。」
「ごめんごめん、心中するなら本当の今の君の姿がいいなあ。」
手でぺたぺたAの顔を触っていたが、それから何もAは言わなくなった。
怒ったのかと思ったが、それは後日酔った勢いだと誤魔化せばいい。
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左目から鯖味噌(プロフ) - 結さん» 一夜と六夜しか未だ読めずにいますし、ひとつの夢と一夜の内容をかけたかったので夢一夜とサブタイトルを付けさせて頂きました主に短編、中編作品ばかり読んでいますが上手く物語に入れる事が出来るように頑張りたいと思います。コメントありがとうございます。 (2016年6月11日 12時) (レス) id: 7e4ff29a97 (このIDを非表示/違反報告)
結(プロフ) - 夢十夜ですね!私、大好きです!いつも応援してます。これからも頑張ってください。 (2016年6月11日 11時) (レス) id: df8cc1ba1e (このIDを非表示/違反報告)
左目から鯖味噌(プロフ) - Hiyoriさん» 感想ありがとうございます。楽しみにされた分、良いと思って頂けるような作品を作ることが出来たらな、と思っております。応援に応えられるよう、努力致します。 (2016年5月16日 23時) (レス) id: 7e4ff29a97 (このIDを非表示/違反報告)
Hiyori - 続きも楽しみにしてます!頑張ってください! (2016年5月16日 22時) (レス) id: 4584690b17 (このIDを非表示/違反報告)
左目から鯖味噌(プロフ) - konohaさん» いえいえ、お気になさらず。見て下さりありがとうございます。応援に応えられるよう、邁進致します。 (2016年5月15日 20時) (レス) id: 7e4ff29a97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:左目から鯖味噌 | 作成日時:2016年5月15日 17時