57_和牛_川西賢志郎 ページ5
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＊Kenshiro side
＿数年前
『あ、賢志郎くんみーっけ』
「いや別に隠れてへんし」
そう言いながら煙草をそっと消す。
『濱家くんが探してたよ』
サラサラの黒いロングヘア。
白い肌。
ぱっちり二重に華奢な体。
今日も天使でしかない俺ら26期生のアイドル。
といっても解散を機に芸人はやめ裏方に転身、
今は劇場のスタッフとして働いている。
でも26期であることには変わりない。
◇
「何？濱くん。
俺のこと探しとったって聞いたけど」
「いやごめん。Aと話したかっただけ。
賢ちゃんおらんかったから利用させてもろてん」
悪びれもなく軽く謝る濱くんにイラっとするも
それ俺もたまにやるやつやん、と気づき
何も言えなくなった。
みんな、Aが好きだった。
◇
『本当26期生は仲良いねえ』
気分良く酔っ払ったAは
そう言ってみんなの会話を
ニコニコと聞くことに徹する。
その度にゆずるが
「お前も26期生やんけ」とつっこむのだけど
毎度のことなのにAはいつも頬を赤らめる。
嫌でもわかってしまうAの好きな人。
わかってるのに毎度ここでずきっと
心臓らへんが痛むのはなんでかな。
気づかんふりを続けて早2年。
そろそろ気づかんフリをするのも限界。
.
.
.
『今日は飲みすぎちゃった』
帰り道の方向が同じやから
送る役目は毎回俺がもらう。
Aを帰りまで見届けられるなんて
これがほんまの役得。
「いつもより飲みっぷり豪快やったな。
なんかあったん？」
俺のそんな言葉に
Aは悲しそうに笑って、
『…実家帰って お見合いすることなるかも』
そう、ぽつりと呟いた。
実家。
昔聞いたことある。
Aは東京のええとこの娘さんで、
大阪NSCに入ったのは
大阪でやりたかったのはもちろんだけど、
その手を逃れたくてだった、っていうのを。
『私がやりたいこと
わかってくれてるんだと思ってたけど
どうも、私のことが心配みたいで。
芸人も辞めちゃったし
結婚できそうにもないし。
それならお見合いしてみよっかなって。
だからもうね、みんなと会えなくなっちゃうの。
それが寂しくて寂しくて…泣いちゃいそう』
街の光でAの瞳が潤んでいるのがわかる。
なあ
そんな理由でお見合いするんやったら
ゆずるにぶつかってみたらいいやん。
ダメやったら俺がおるし。
てかそんなんやったら俺と、
そんな気持ちを言うても困らせるだけやんな。
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さくら(プロフ) - 初めまして！ 他のシリーズも読ませていただきたいのですがパスワードを教えていただくことは可能ですか？ (3月27日 2時) (
レス) id: 29a1fe95ee (このIDを非表示/違反報告)
秘密のアッコちゃん(プロフ) - はじめまして！シリーズ全て読ませて頂きたいのですがパスワード教えて頂くことは可能でしょうか？ (1月11日 22時) (レス) id: b2629d5630 (このIDを非表示/違反報告)
☆kon☆(プロフ) - 初めまして！どの小説にもめちゃくちゃキュンキュンしました！特に南條さんと辻さんの、じれったい2人の距離感とかもやもや感が特徴を捕えた文章で表現されていて最高でした！！ぜひ他の作品も読ませていただきたいのでパスワードを教えて頂けませんでしょうか＞＜ (12月27日 22時) (レス) @page38 id: 8e45766978 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 初めまして！過去のお話も読みたいのでパスワード教えていただくことはできますか？ (12月24日 9時) (レス) id: 6b7bdcebc6 (このIDを非表示/違反報告)
hina - 何回読んでもキュンキュンします！他のお話もまた読みたいです｡パスワード教えて頂くことはできますか？ (2022年2月12日 6時) (レス) id: bdfbcba29a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hico | 作成日時：2021年5月26日 17時
