子供７ ページ7
次の日の朝。
今日は武器や資金の確認や、食糧調達をする日だ。
私が司令塔となり指示し、仲間に動いてもらう。
朝からまとめた資料を片手に、ため息をつく。
「どうすればもっと効率よく…」
昨日の晩、寝る前に念入りに見たはずの計算と合わなかったり、次々入る依頼や問題で頭がパンクしそうだ。
もっと賢く、冷静に、的確に。
落ち着けと自己暗示をかけながら、指示を出していく。
「Aさん、少しは休んだ方がいいかと」
一人の仲間が、そっと声をかけてくれた。
すると、他の皆も口を揃え「休んで欲しい」と言ってくれる。
「お気遣いありがとうございます。もう少ししたら昼食なので、それまで」
少し笑って会釈すれば、彼らは頬をほのかに染め困りながらも笑顔を見せてくれた。
その様子を見ていたのか、小太郎兄さんが近寄ってきた。
彼もまた、彼らと同じように心配そうな眼差しを私に向ける。
「昨日の夜も顔色が悪かったが、今日は一段と悪いぞ。後の仕事は俺が引き受けてやるから、少し休憩してこい」
昨日の、夜。
そこで、私は昨日の夜のことを思い出す。
晋助兄さんに押し倒された、月明かりが照らす障子の下。
前髪にかかる、彼の色っぽい息遣い。
少しだけ香った、甘ったるい匂い。
女の人と…って事だよね。
「…い、おーい、大丈夫か…？」
「あ、う、うん。ありがとう。そうだね、ちょっと休む」
目の前で小太郎兄さんが不思議そうな顔で、何度も手を振っていた。
ハッとなり、すぐに小太郎兄さんから目線をそらす。
「うむ、その方がいいだろう」
満足そうに腕を組み頷いてくれたので、言葉に甘え私はその場を後にした。
廊下を歩き、自室へ向かう。
確かに疲れてはいる。
無理している自覚も多少はある。
だけど、ボーッと考え込んでしまうのはそのせいじゃない。
昨日の晋助兄さんとの出来事のせいじゃない。
銀ちゃんが気がかりなのだ。
遅くなる日は、女たちと遊んでいるってことなの。
ストレスを発散したいから、そういうお店に通ってるってこと？
男だから、って遠回しに晋助兄さんは言っていた。
でも、でもでも…。
何をそんなに否定したいのか、なぜか受け入れられない自分がいる。
その時。
「おー、A〜」
ダラダラとした足音が後方から聞こえ、ピクっと反応してしまう。
振り向かなくても分かる、銀ちゃんだ。
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作者名：お茶
| 作成日時：2019年11月8日 23時
