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子供45 ページ45

浮気されて離婚。

どこにでもよくある話だ。

そりゃ赤坂さんは、もう元旦那の顔も見たくないだろうし、子供も会わせたくないはず。

しかも、その不倫相手が笠神さんの今の妻ときた。

尚更、もう関わりを持つなんてことは考えないだろう。

でも、やはり蒼くん自身が今会いたいと言うなら、会わせてあげるのがいいと私は思う。

その気持ちを大切にするべきだと。


「父ちゃんのこと話すと、母ちゃんは機嫌悪くなっちゃうんだ。けど、最後は絶対抱きしめてくれるよ」


繋いだ手に視線を落とせば、蒼くんがこちらを見上げそう言った。

本当にこの子のことを大切にしていることが分かる。

赤坂さんにとって唯一の子供なのだから、当然なのかもしれない。


屯所に着き、私は自室へ蒼くんを案内した。

座布団に座るよう促すと、ちょこんと正座する蒼くん。

隣に総悟くんも胡座をして座り、死んだ目で机を挟んで正面に座る私を見た。


「姉さん…」


呆れたような声音から、言いたいことは分かった。

きっとまだ彼は腑に落ちていない。

不貞腐れた顔にそう書いてある。


「蒼くん、お饅頭食べれる?このお店のお饅頭すっごく美味しいんだ」


「いいの!?やった!これ母ちゃんにもあげたいから持って帰ってもいい!?」


「もちろんもちろん!何個でもどーぞ!」


そんな総悟くんにお構い無しに、蒼くんと話す。

すると、諦めたようにフッと笑ってくれた。


「姉さんがそうと決めたんなら、俺も最後まで付き合いまさァ」


「ありがとう、総悟くん」


何だかんだ優しい上司には、毎度頭が上がらない。

こう好き勝手やってしまう部下を見守ってくれるのだから。


上司の了承が出たので、私は早速蒼くんと話を進めることにした。


「お父さんと一度も会ったことないの?」


「会ったことない」


「どうして会いたいって思ったの?」


「それは…」


そこで、彼は口を閉じる。

なんだろう、何かあったのだろうか。

慎重に聞こうと体勢を直していると、蒼くんは次の言葉を繋げてくれた。


「僕の誕生日になると、毎年父ちゃんから手紙とプレゼントが届くんだ。だから、直接ありがとうって言いたくて」


視線を落とし、自信が無いように声を小さくしていく蒼くん。

その理由と言葉に、私は胸を打たれた。


「一緒に会いに行こう、お父さんのところに」


「はぁ…言うと思いましたよ。俺も行きまさァ」


私に続いて、ため息混じりに総悟くんがそう言ってくれた。

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お茶(プロフ) - アルムさん» 素敵なコメントありがとうございます!!心の支えでございます涙次回作も宜しければ読んでいただけたら光栄です!ありがとうございました!! (2019年11月8日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - お茶さんこんにちは! 番外編完結おめでとうございます。1シリーズのときからずっと好きで毎日読んでいました。お茶さんの綴る文章、大好きです。毎日お疲れ様です。次回作も楽しみにしています。 (2019年11月8日 23時) (レス) id: 4726a4adc0 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みゃんさん» わぁぁあコメントありがとうございます!続き頑張って書きあげますね!! (2019年9月4日 0時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
みゃん - 一気に読んじゃいました!めっちゃ面白いです!!続きが早く見たいです! (2019年9月3日 22時) (レス) id: 21dc5ec498 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - あくび少女さん» コメントありがとうございます!ニヤニヤ…( -∀-) (2019年9月1日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月9日 2時

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