子供３０ ページ30
ある日の昼下がり。
書類整理を土方さんから言い渡され、自室で筆を走らせていた。
「えっと…」
ブツブツと口に出しながら、番号を書いていく。
「A」
その時。
出入口の障子付近で、声がした。
ビックリし、思わず近くにあった木刀を手に取る。
障子を見れば黒い影一つ。
戦闘態勢に入ると、ゆっくりと障子が開かれた。
「ぎ、銀ちゃん…！？」
「ちょちょちょ、あんま大きい声出すなっつの！」
そこにいたのは、なんと銀ちゃん。
そばまで来て、私の口を手のひらで押さえる。
んー！んー！と息が出来ず苦しむと、すぐにその手は外された。
「うぉお…わりぃ」
「ど、どうして真選組に…」
木刀をゆっくり置くと、何故か嫌な顔をする彼。
「どうしてってなぁ。お前の噂聞き付けて飛んできたんだよ。Aが隊士になったって」
ゆっくりと私の目の前で腰を下ろし、片肘を立てる。
相変わらずの死んだ目を向けられた。
「なんで隊士になったんだよ。もうそんな危険な仕事に向き合うことねぇだろ」
「一番隊副隊長にならないかって、土方さんが推薦してくださったの。この隊の力になれるならって思って」
「はぁぁ、また土方くん？おいおい…」
おでこにペチっと手を当て、盛大なため息をつかれる。
銀ちゃんは反対なのかな。
「昔みてぇな距離とは言わねぇけど、そばに置いておきたいんだよ」
ボソッと、何気なく銀ちゃんから放たれた言葉。
あ、あれ…
何でこんなドキドキしてるの。
熱を帯びた赤色の瞳に、見つめられる。
それは、幼い頃見た瞳ではなく。
それは、攘夷戦争時代の頼もしい瞳でもなく。
大人の、銀ちゃん。
「A…？どうした、ボーッとして。なに？俺の顔になんかついてんの？」
顔をペタペタと触りだしたが、そうじゃない。
そうじゃ、ないよ。
そこで、私は思いだす。
晋助兄さんと同じだ、と。
唇を指でなぞられ、男だと意識したあの日と似ている。
銀ちゃんって、こんなにカッコよかったっけ…。
「銀ちゃん、綺麗な瞳の色だね」
吸い込まれそうだ。
彼の元に手をつきながら、少しずつ上半身を寄せる。
顔を寄せ、ジッと瞳の奥を見る。
赤く燃えているようだ。
「A、さん…あの、近いっすよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 850人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お茶(プロフ) - 狼さん» ご指摘ありがとうございます！注意書きにもありますが、原作と他は多々違うところがありまして、、！このお話の都合上3番隊の人数を増やしておりまして汗申し訳ありません汗 (2019年10月9日 20時) (
レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
狼 - すみません…今更なんですけど…子供扱い45のところの『三番隊の連中』ってあるじゃないですか…三番隊って…斉藤終しかいないんですよ…(ｺｺﾞｴ (2019年10月9日 20時) (レス) id: a55c73a212 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みのりさん» ありがとうございます！！これからも頑張ります！！ぜひ子供扱い2子供扱い3も見てくださいね！ (2019年1月22日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 面白い展開ですねw。これからも頑張ってください！！ (2019年1月22日 15時) (レス) id: f121079414 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - Fall ill appleさん» うわぁぁあコメントありがとうございます！訂正しておきます！ (2019年1月1日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お茶
| 作成日時：2018年8月25日 0時
