笑顔３２ ページ32
「やすに彼女なんて嬉しいなぁ」
私の家に、そう八重歯を出して笑うイケメンさんが一人。
その隣で、お酒を煽る優しそうな顔をしたイケメンさんが一人。
そして、その隣に大きな体のイケメンさんが一人。
「奥から、村上、丸山、大倉、やで」
そう章ちゃんに紹介された。
すぐに覚えられそう、すごく濃い。
この人達、章ちゃんの仕事仲間。
村上さんはピアニストで、丸山さんはベーシスト。
そして、大倉さんはドラマー。
なんだか凄い人達が集まってしまった。
こんな狭いアパートにいいのかな。
遠慮がちに５つお茶を出し、章ちゃんの隣に座る。
村上さんが章ちゃんの彼女の顔を見たいと騒ぎ出したらしい。
そして、呼ばれた２人は村上さんに引きずられ、章ちゃんと私がいるここに来た。
本当はあと３人呼びたかったらしい。
後に、そのうちの２人が私の知る渋谷さんと横山さんだと知ることになる。
「ええ子そうやな〜やすにピッタリやん」
のほほんと笑顔をこぼしたのは、丸山さん。
「ほんまやな〜。Aちゃんよな？やすちっちゃいやろ」
私に視線を向けてくれたのは、大倉さん。
実は前から章ちゃんの話に出てきていた人。
とっても仲が良くて、食事によく行くらしい。
私は今日初めて会った。
「何言っとんねん！ちっちゃくないわ！」
両腕をバタバタと暴れさせ否定する章ちゃん。
「っはは、子供やん〜」
笑い方、ちょっと章ちゃんに似てるのかな。
身長は似てないけど。
その後、色々と会話を交わし、最後には丸山さんが手を挙げて
「はいはい！連絡先交換したい！」
そう、私にスマホを向けた。
すると、他の２人も交換してくれた。
「いつでも連絡して来いな」
お兄さん気質な村上さん。
「ええな〜僕も彼女欲しいわ〜」
甘え上手で面白い丸山さん。
「やすのことよろしくお願いします」
少年のような笑顔が印象的な大倉さん。
一日に３人もお友達が出来てしまった。
これも、章ちゃんのおかげだね。
「で、２人の出会いってどんなんやったん」
村上さんの何気ない一言によって、私達は固まる。
顔を見合わせ、言葉をお互いに探す。
結局先に口を開いたのは、章ちゃんだった。
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作者名：お茶
| 作成日時：2018年8月6日 22時
