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先生36 ページ36

次の日の朝。

あの後、総悟はこれ以上一緒にいると気を遣わせてしまうからと言い、すぐに帰ってしまった。

けれど、枕元にはコンビニ袋が置いてあって。

見ればゼリーや風薬が入っていた。

その総悟の差し入れと優しさのおかげかすっかり良くなり、今日は総悟と一緒に登校している。


「もう大丈夫なのかよ」


「うん!元気になりましたよ」


「そうかィ。ってか、別に今日くれぇは朝練の時間に合わせなくてもよかったんだけど」


「私が総悟と一緒に行きたかったから、好きにやってるだけ」


総悟が朝練のある日は、私が時間を合わせている。

隣を歩く彼を見上げれば、口角を少し上げてくれた。

うん、やっぱり早起きして正解。

でも。

一昨日からずっと消えない胸騒ぎ。

夢にまで出てきた、先生の顔。

あの時、川田さんに向けられた笑顔が忘れられずにいた。

諦めた方がいい、よね…。

そんなことを考えると、無意識に下唇を噛んでしまう。


「A」


名前を呼ばれ、ハッとなる。

気が付けば、そこはもう校門で。

足を止めれば、総悟が眉をひそめて心配そうに顔を覗き込んできた。


「大丈夫ですかィ」


「大丈夫、です」


納得いかないという顔をしている総悟の背中を押し、手を振る。


「朝練、頑張って!」


「…へーい」


総悟の後ろ姿を見つめる。

ありがとう、総悟。

言葉数が少なくても、彼の表情や動作で分かる。

私をものすごく心配していることが。

大丈夫だよ。

本当に、ありがとう。


私はそのまま教室へと足を運んだ。

朝早くから登校している人はいなく、とても静かだ。

よく耳を澄ませば、遠くの方から運動部の掛け声が聞こえてくる。

自分の席に座って、腕枕をする。

顔を腕の中に埋め、目をつぶる。




_______________桜田




先生の声が、ずっと遠くで聞こえる。

大人っぽくて、落ち着いていて。

煙草吸ってるからなのか、少しだけ掠れていて。

こんなに好きになった人は初めてだ。

だから…。

諦められるわけ、ないじゃないか。

どうしよ、なんか泣けてきた。

じわじわと目に涙が溜まってきたのが、目を瞑っていても分かる。



先生。

私、どうしたらいいですか。

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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - チャリ愛用者。さん» チャリ愛用者。様、いつも素敵なコメントありがとうございます!自身の体験と重ねてくださったそうで...!凄く嬉しいです!!素敵な恋ですね!!応援しています!!! (2018年10月24日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 現実はそう簡単ではありませんがねw 長文失礼しました (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 【子供扱い】を読んでいるので、お茶さんの他の作品も見てみようかな......。と思ってみにきました。何回読んでもニヤケが止まらないです(笑)今私には好きな人がいるのですが(急にどうした)、その人とよく目が合うので、その時のことを思い出しました......! (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 涼竜さん» 素敵なコメント、本当にありがとうございます!胸キュンしていただけるなんて...光栄です(TT) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
涼竜(プロフ) - めちゃめちゃめっちゃ良かったです...笑 久々に胸キュンでした、ありがとうございます(*´ω`*) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 6981c5c6d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2018年3月24日 3時

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