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先生32 ページ32

すると


駆け足で、職員玄関から一人の教員が姿を現した。

長身で、日が沈みかけの空によく映える銀髪。


「坂田、先生…」


一人の女子生徒の元に足をすぐに進め、目を細める。

彼女は先生を見上げるように、私たちに横顔を見せた。

この距離でも分かるほどの、美少女だ。

神威君の言っていたこと、正解だったんだね…。


「あれって…川田じゃねーの」


「総悟、知ってるの?」


「お前と大沢の事があってから、少しだけ調べたんでねィ。間違いねぇ、あの女だ。んで坂田なんかと…」


小声で会話を交わす。

やけに近くにかかる総悟の吐息に、心臓が跳ねた。

って、今そんなこと考えてる場合じゃ…。


二人を見れば、楽しそうに何かを話している。

でも、何かに怯えているような表情の川田さん。

顎マスクを鼻まで上げて、顔を隠す。

すると、先生は着ていた上着を彼女の肩にかけた。

彼女は嬉しそうにその上着をギュッと握り、顔を埋めるように体に引き寄せる。

キリキリと、私の胸が音を立てた。

見たくない…。

お腹の底から何かが沸き上がり、嗚咽が漏れそうになる。

すぐに手を口に当て阻止するが、モヤモヤとした感情は消えない。

どんな関係なのかな…。

もう、恋人だったりするのかな…。

私、先生に頭を撫でられたり

くだらないメモ帳を取っておいてくれて、私の似顔絵を描いてくれたり

体調が悪い私を気遣って、飲み物を奢ってくれたり

笑いかけてくれたり、声をかけてくれたり、話しかけてくれたり

そんな些細なことが、すごく嬉しかった。

けど、先生にとっては、何気ない日常の一部にすぎなかったんですね。

鼻の奥がツンとし、徐々に目に涙が溜まる。

どうしよう、泣きそう、だ。

足が震えてきた。

恋がこんなにも辛いこと、知らない。

たったこれだけで。たった…?

私にとっては小さいことではない。

先生…。







「もう限界」






その時。



私は、力強い総悟の手によって体ごと腕を引かれた。



ビックリしながらも体勢を崩し、そのまま総悟の胸に飛び込む。



「A…」



私の苗字を呼ぶ、愛しい人の声。

ハッとなり、総悟の体からすぐに離れれば、こちらを見る先生と川田さんが。

木の陰から飛び出すように現れた私と総悟に、驚いているようだった。

それは、なんの驚きですか、先生。

見られたから、ですか。

先生33→←先生31



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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - チャリ愛用者。さん» チャリ愛用者。様、いつも素敵なコメントありがとうございます!自身の体験と重ねてくださったそうで...!凄く嬉しいです!!素敵な恋ですね!!応援しています!!! (2018年10月24日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 現実はそう簡単ではありませんがねw 長文失礼しました (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 【子供扱い】を読んでいるので、お茶さんの他の作品も見てみようかな......。と思ってみにきました。何回読んでもニヤケが止まらないです(笑)今私には好きな人がいるのですが(急にどうした)、その人とよく目が合うので、その時のことを思い出しました......! (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 涼竜さん» 素敵なコメント、本当にありがとうございます!胸キュンしていただけるなんて...光栄です(TT) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
涼竜(プロフ) - めちゃめちゃめっちゃ良かったです...笑 久々に胸キュンでした、ありがとうございます(*´ω`*) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 6981c5c6d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2018年3月24日 3時

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