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先生12 ページ12

「A」


その後、神威君の話になんとなく相槌をうっていたら、教室に総悟が迎えに来てくれた。

リュックを背負い、タオルを首にかけている。


「ごめん神威君、私帰るね」


本を閉じ、カバンに手をかけ立ち上がる。

何も言わずにニコニコと笑っている神威君に手を振り、私は総悟の隣を歩いた。


雨が上がった帰り道。

総悟が急に私の顔を覗き込んできた。

驚いた私は思わず足を止める。


「あいつに、なんか言われたんじゃねーの」


顔、出てたのかな。


__________生徒が教師と恋愛とか、非現実的なこと


神威君の言葉が過り、下唇を噛んだ。


「……先生と恋愛するのはあり得ないって言われたの」


隠すことはないだろう。

特に総悟には、正直でいたい。



私は再び歩き出すと、総悟が傘をさして私と並んだ。

二人で一つの傘に入り、ゆっくりと歩く。


「雨、上がってるよ」


「そんな面しながら歩いたら、他の奴に見られんだろィ」


総悟は黒い傘を、私の顔を隠すようにさしてくれた。

私、今どんな顔してるのかな。

どんな…。


「気にすんな」


やけに優しい声が、上から降ってきた。

うつむきながら歩く私の目に、涙がたまる。

総悟は優しいなぁ。

私が先生の事が好きだと言った時も、肯定してくれた。

私の気持ちを否定せず、頷いてくれた。


「あ、りが、とう」


声を震わせ泣き出しそうな私の頭に、総悟の手が置かれた。

ガシガシと撫でられ、ついに涙が頬を流れる。

別に大したことじゃないんだけどな。

ただ当たり前のことを言われただけじゃないか。

そう、当たり前の事を…。


「総悟」


「ん?」


「なんで、も、ない」


「そうかィ」


吐き出せない言葉に、自分自身も困惑する。

冷静にならなきゃ。たかが一人の見解じゃないか。

動揺しちゃ、ダメだ。




結局、無言のまま私たちはそれぞれの家に帰宅した。

帰って早々、制服のままベッドに飛び込む。

頭、痛くなってきたな…。

先生からもらったお茶をバックの中から出すと、もうそれは冷めてしまっていた。

けど、一口飲むと、なぜか頭痛が治まっていき

同時に心にポッカリと穴が開いたような、寂しい気持ちになった。

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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - チャリ愛用者。さん» チャリ愛用者。様、いつも素敵なコメントありがとうございます!自身の体験と重ねてくださったそうで...!凄く嬉しいです!!素敵な恋ですね!!応援しています!!! (2018年10月24日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 現実はそう簡単ではありませんがねw 長文失礼しました (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 【子供扱い】を読んでいるので、お茶さんの他の作品も見てみようかな......。と思ってみにきました。何回読んでもニヤケが止まらないです(笑)今私には好きな人がいるのですが(急にどうした)、その人とよく目が合うので、その時のことを思い出しました......! (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 涼竜さん» 素敵なコメント、本当にありがとうございます!胸キュンしていただけるなんて...光栄です(TT) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
涼竜(プロフ) - めちゃめちゃめっちゃ良かったです...笑 久々に胸キュンでした、ありがとうございます(*´ω`*) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 6981c5c6d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2018年3月24日 3時

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