拗らせ王子と純情娘 ６ ページ6
「し、ショッピくん…！？」
「どうしましたか」
「う、ううん、何でもない。えっと…再テスト、ね」
小声で再テストだと言われ渡されたのは、酷い点数の単語のテストだった。
俺が珍しい点数をとったので驚いているのだろう、A先生は大きな瞳をさらに大きくしている。
ぐうかわ。
席に戻り他の再テスト者を確認すべく聞き耳を立てる。
お調子者の木村、野球部の中田、熟女大好きチーノ。
…結局お前も再テストなんか。
ジトッとした目で見られたのに気づいたのか、急に振り向いて俺の席に来るチーノ。
半泣きでテスト用紙を見せてくる。
「ショッピ見てや〜、半分も取れてへんのやけど！どうやったら覚えれるん単語って！！」
「オレモタンゴデキナイカラキクナ」
「え？なんでカタコト？ってかは！？お前、何やこの点数！！」
テスト用紙をガバッと取られ彼も先生と同じように目を見開く。
「うおおぉい三点ってなんや三点って！！俺より低いやんけ！！」
「は？三点以上取れたん？…チッ、あと二問くらい正解しときゃよかったな」
「何言ってんのお前」
そうくだらない話をしていると、クラスの委員長が席に座るようみんなに呼びかけた。
チーノもデカい背中を丸めとぼとぼと席へ帰っていく。
「えっと…じゃあ、満点じゃない子は放課後にこの教室に残っとくようにね」
その時。
チラッと不安げに視線が上がり、彼女は俺を見た。
眉は八の字に少し上目遣いのような角度で、何か心配しているように見えるその表情。
いや、いやいやいやいや。
なんなんその顔、え？てか俺の事見とるよな？
その可愛い顔なんなん？？？
膝の上でグッと拳を作り、ニヤける顔を何とか堪える。
「それじゃ、これで授業を終わりにします」
A先生の呼び掛けで全体が起立する。
…これで放課後A先生と二人っきりになれるチャンスが巡ってきた。
満点が取れるまで何度でも再テストを行う。
つまり、満点を取らなければ居残ることが出来る。
わざと点を取らずにいけば、周りはどんどん消えていくはずや。
そしたら念願のA先生と強制的二人っきりイベントが開始される。
あー、早く放課後になんねーかなー。
挨拶を終えたA先生は何故か落ち込んだ様子で、職員室へと戻って行ってしまった。
まぁ普通教師は、放課後まで時間を潰して補習者の面倒見るのは嫌やろうな。
けど、俺にとっては最高の時間になるのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 615人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てきとーさん - チヨちゃぁん……チヨちゃんっ！幸せになってくれ… (2021年1月21日 7時) (
レス) id: 2e24d3a77d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みかげさん» わぁありがとうございます！！泣 チヨちゃん可愛いですよね！？(？) (2020年9月7日 23時) (レス) id: 439e2c470d (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - 完結おめでとうございます……！！shp君……君イケメンすぎん！？ってかチヨちゃんかわ……チーノさん羨まし(殴)めちゃめちゃおもろかったです！！ありがとうございました！ (2020年9月7日 17時) (レス) id: 946825ef56 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 粉みるく。さん» ちょっと見たいというコメを見たので、、、！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
粉みるく。(プロフ) - ば、番外編…w わーいチヨちゃんだぁぁぁぁ！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 091f5a802b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お茶
| 作成日時：2020年5月20日 1時
