拗らせ王子と純情娘 ４６ ページ46
「…メッセージ貰いに行かんでええの？」
「行くで。じゃ、解散やな」
「卒業しても俺たちズッ友だかんな！」
「なんやそれ、くっさ」
「はぁ！？ズッ友同盟組んだやんけ！！」
「今からその同盟を裏切るんやけど」
「ショッピは特別や」
優しい友人の言葉にクスッと笑って見せれば、彼も同じように笑ってくれた。
卒業アルバムを片手に階段を上っていく。
彼女との集合場所は屋上。
本当は生徒立ち入り禁止だが、今日だけは特別だからおいでなんて言われた。
最上階に着き、屋上扉の前へ。
そっと冷たいドアノブに手をかざし回すと、キーッと音を立ててドアが開いた。
春風に髪をなびかせる、一人の小さな女性教師。
「卒業おめでとう」
振り向いた彼女の笑顔は世界一綺麗なもので。
思いっきり走って抱きつけば、腕の中で笑ってくれた。
「卒業しました」
「うん」
「返事、聞かせてください」
「約束だもんね」
優しい声がふわりふわりと漂う。
少しだけ距離を離して、先生の顔をしっかり見つめる。
「先生」
「はい」
「Aさん」
「はい」
「俺と付き合ってください」
「…はい」
彼女の瞳に滲んだのは、キラキラと輝く涙だった。
玉となって頬を転がり落ち、それを人差し指で拭う。
「はぁ…ほんま長かった」
眉を八の字にさせ目を細めると、A先生はまたボロボロと泣き出す。
しかし屈託のない笑顔を俺に見せてくれて、愛しくなりまた抱きしめた。
暫く昔話に花を咲かせながら未来のことも話していると、ふと先生が何か思い出したかのように手元のバックを漁った。
出てきたのは大きな絵本。
「卒業祝い、みたいな」
「え。いいんすか」
「ショッピくんに読んで欲しい本なの」
柔らかいタッチで描かれているのは、一人の少女と大きな年老いた木。
内容を読んだら感想を聞かせて、との事。
「大切にします」
「っふふ、ありがとう」
「俺たちに子供が生まれたら読み聞かせます」
「気が早いよ」
「え！？結婚してくれるんすか！？」
「ブハッ、ッハハハハ、ショッピくん面白すぎ！」
お腹をかかえて笑うA先生に、自分もつられて笑った。
小さな女の子の夢は、自由になること。
大きな大木の夢は、大切な人を守ること。
お互いがお互いを助け合い、お互いがお互いの隙間を埋める絵本の話は
どことなく俺とA先生に似ているなと、そう思った。
先生は、どう思いますか。
【完】
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てきとーさん - チヨちゃぁん……チヨちゃんっ！幸せになってくれ… (2021年1月21日 7時) (
レス) id: 2e24d3a77d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みかげさん» わぁありがとうございます！！泣 チヨちゃん可愛いですよね！？(？) (2020年9月7日 23時) (レス) id: 439e2c470d (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - 完結おめでとうございます……！！shp君……君イケメンすぎん！？ってかチヨちゃんかわ……チーノさん羨まし(殴)めちゃめちゃおもろかったです！！ありがとうございました！ (2020年9月7日 17時) (レス) id: 946825ef56 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 粉みるく。さん» ちょっと見たいというコメを見たので、、、！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
粉みるく。(プロフ) - ば、番外編…w わーいチヨちゃんだぁぁぁぁ！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 091f5a802b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶
| 作成日時：2020年5月20日 1時
