拗らせ王子と純情娘 ３３ ページ33
「わぁすごいよ本田くん！しっかり和訳できてる！」
明るい先生の声で目が覚めた。
瞼を開け、ぼやけた視界で先生と生徒を見てみる。
本田くんと呼ばれた男子生徒の方は嬉しそうに頬を弛め、先生も生徒と同じように喜んでいた。
「んー…あと、こことここ…」
赤ペンでスラスラと何かを書き込んでいる。
その様子を真剣にジッと見つめる男子生徒。
「あともう少し。大丈夫、絶対にできるよ」
不安げに見つめていた男子生徒が、先生の励ましによって徐々に力が抜けていく。
へー、優しい先生やな。
「休憩しよっか。絵本とか読むと気が休まるよ？」
「絵本ですか？っふは、せんせー子供みたいっすね」
「あー！絵本をバカにしたでしょー！」
…っふ、なんやそれ。
思わずクスッと笑ってしまった。
あー俺もそろそろ勉強するか。
大きく伸びをして教科書と向き合う。
欠伸を混じえつつページを捲っていると、自分の座っていた席の真正面に誰かが立ったのが視界の隅で見えた。
ゆっくり視線を上げると、そこにはAちゃんが立っていて。
「君、一年生？」
「そ、そうっすけど」
「へぇ〜、偉いねぇ。わたしが高校一年生の頃なんか復習してなかったなぁ」
「え。それ教師のあんたが言っていいんすか」
「っははは、確かにね！」
子供らしい笑い方に目を奪われる。
…正直、大人なんて。
教師なんて。
バカ真面目に決められた範囲こなして、愛想振りまいて顔色を伺う職業だと思っていた。
笑いを取りに来る先生もいたが、その人も含め笑顔が笑顔じゃないように見えて仕方がなかった。
どこかに裏があるように見えて、心の底からの笑顔を生徒には見せないものなのだと。
けど、この人の笑顔は見ていて気持ちがいい。
純粋に笑っているように見えて、すごく
可愛い人だなと、思った。
「勉強頑張ってね」
「ありがとうございます」
最後にまた笑ってくれた先生にドキッと心臓が音を立てる。
自然と目で追ってしまって。
「あ、ほら見て本田くん、この絵本とか面白そうじゃない？」
「せんせー、もう始めましょうよー」
「いいから！この一冊だけでもいいから読もう！」
ケラケラ笑う生徒を無理やり座らせ、楽しげに絵本を広げ始める先生。
指で文や絵を追って、楽しそうに笑い合っている。
その空間に、もし俺がいれたら。
あの笑顔をそばで見ることが出来たのなら。
ふわりと宿った気持ちは、次第に大きくなっていったのだった。
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てきとーさん - チヨちゃぁん……チヨちゃんっ！幸せになってくれ… (2021年1月21日 7時) (
レス) id: 2e24d3a77d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みかげさん» わぁありがとうございます！！泣 チヨちゃん可愛いですよね！？(？) (2020年9月7日 23時) (レス) id: 439e2c470d (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - 完結おめでとうございます……！！shp君……君イケメンすぎん！？ってかチヨちゃんかわ……チーノさん羨まし(殴)めちゃめちゃおもろかったです！！ありがとうございました！ (2020年9月7日 17時) (レス) id: 946825ef56 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 粉みるく。さん» ちょっと見たいというコメを見たので、、、！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
粉みるく。(プロフ) - ば、番外編…w わーいチヨちゃんだぁぁぁぁ！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 091f5a802b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶
| 作成日時：2020年5月20日 1時
