拗らせ王子と純情娘 ２０ ページ20
〜A side〜
保健室にて。
目が覚めると、真っ白の天井が徐々に輪郭を帯び目に映った。
よく寝てしまったと上半身を起こせば、仕事をしていたであろうしんぺい先生がこちらを向いた。
「おーおはよ。よう寝れた？」
「すいません、私いつからここに…」
「ショッピくんが昼休みに倒れたAちゃん連れて来てくれたで」
あぁやってしまった…。
あろうことか生徒に助けて貰っただなんて。
教員として失格である。
「何か思い出して寝れんかったん？」
そっとかけられた言葉に肩が跳ねる。
しんぺい先生は手元の資料を見ながら話を続けて。
「寝不足やろー。何か考え事して寝れなかったんちゃう？」
バレてる…。
ベッドの白いシーツを無意識に握りシワを作る。
「…あの子のことちょっとだけ思い出しちゃって。ほんと、ちょっとだけ」
「なんで思い出したんかな」
「え…？」
「きっかけがあったんやないの？」
全て見透かされているような言葉。
けど確かにその通りで、返事が返せず黙り込む。
「ショッピくんは芯の通った子やね。俺あの子のこと好きやわぁ」
何気なく話の中に紛れ込んだ生徒の名前。
間違いなく私を動揺させるもので。
目を閉じ深く息を吸い、彼と話をせねばと立ち上がったのだった。
☕
〜shp side〜
秘密を教える、と。
そう意味深に言ってから黙り込んだA先生に、俺は緊張して膝の上で拳を握っていた。
何を、どうして俺に。
そしてその秘密とは一体何なのか。
頭をフル回転させるがもちろん答えなんか出てこない。
すると、彼女は少しだけ口角を上げて困ったように笑った。
「私ね、すーごく弱虫なの」
ポカン、と口を開けてしまう。
弱虫？
「単純にメンタルが弱いの。強い言葉を言われたら心折れちゃうし、悲しい出来事があったらすぐ泣いちゃう。教員らしくないよね」
クシャッと笑ったA先生。
確かに、感受性豊かなのは見てて分かる。
それが表に出やすいことも。
「だからその分ね、嬉しいことも心に染みやすいの。弱虫の特権なのかな…人より何倍も嬉しく思えるんだよ」
「だから」とゆっくり言葉を繋ぐ彼女を静かに見つめる。
「…あの時ショッピくんが言ってくれた言葉本当に嬉しかったな。ありがとうね」
本当に嬉しく思ってくれたのだろうか。
それこそ表に出やすいから分かりやすいです、先生。
本当に嬉しく思うならそんな無理した顔で
笑わないでください。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 615人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てきとーさん - チヨちゃぁん……チヨちゃんっ！幸せになってくれ… (2021年1月21日 7時) (
レス) id: 2e24d3a77d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みかげさん» わぁありがとうございます！！泣 チヨちゃん可愛いですよね！？(？) (2020年9月7日 23時) (レス) id: 439e2c470d (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - 完結おめでとうございます……！！shp君……君イケメンすぎん！？ってかチヨちゃんかわ……チーノさん羨まし(殴)めちゃめちゃおもろかったです！！ありがとうございました！ (2020年9月7日 17時) (レス) id: 946825ef56 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 粉みるく。さん» ちょっと見たいというコメを見たので、、、！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
粉みるく。(プロフ) - ば、番外編…w わーいチヨちゃんだぁぁぁぁ！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 091f5a802b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お茶
| 作成日時：2020年5月20日 1時
