拗らせ王子と純情娘 19 ページ19
先生はドアノブに手をかけ、ガチャっと扉を開けた。
ホワイトボード一枚、大きな机を挟むようにパイプ椅子が二つ。
殺風景やな。
埃っぽい室内は、お世辞にも綺麗にされてるとは言えない。
「普段使われてないんすか」
「あーそうねぇ…。この学校で不祥事起こす子なんて滅多に居ないし、呼ぶとしたら職員室だからここ使う先生たちいなくなっちゃったのよね」
「汚くてごめんね」と付け加えた先生。
え、っと…つまり。
密室、誰も来ない部屋、二人っきり。
何も起こらないはずもなく。
って展開期待しとるんすけどええっすか、押し倒してええっすか。
「そこ座ってください」
そんな先生の声でハッとする。
大人しく指定されたパイプ椅子に腰掛けると、彼女も同じように目の前に座った。
こうして面と向かって座るのは個人面談以来である。
「えっと…話があるんすよね」
沈黙が続いた訳でもないが、その空気を作りたくなくて思わず口を開いてしまった。
「じゃあ…まずはお礼を言わなきゃだよね。保健室まで運んでくれてありがとうございました」
深々と頭を下げる先生。
ビックリしてしまいテンパることしか出来ない。
どうしようか慌てていると、彼女はゆっくりと顔を上げた。
そして目を逸らし何か考えたあと、意を決したのか深く息を吸う。
「あのー…。ショッピくんさ、しんぺい先生から何か聞いた?」
「え?っ…と、しんぺい先生とA先生が高校の先輩と後輩っていうのは聞きました」
「他は何か話したの?」
「A先生を慰めることが出来るんは、生徒だけやって言ってましたね」
その言葉を聞いた瞬間、彼女は大きく目を見開いた。
口をパクパクして何か言いたげだが、どうやら喉に突っかかって上手く吐き出せないよう。
みるみるうちに顔は赤くなり、それは照れではなく羞恥から来るものだと何となく見てて分かった。
あかんこと言ったかもしれへん、やばい。
また自分はA先生を知らんうちに傷つけてしまったのかと眉間にシワを寄せる。
「すいません先生、俺何か余計なこと言いましたよね。この間も…。それでA先生が寝不足になったんじゃないかって思っとるんですけど…」
「ち、違うの!ショッピくんは何も悪くなくて…」
徐々に声を絞らせた彼女は、ふぅっと深く息を吐いた。
そして控えめに目線を上げ俺と目を合わせると、諦めたように優しく笑った。
「ショッピくん。私の秘密教えても、いい?」
「…へ」
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てきとーさん - チヨちゃぁん……チヨちゃんっ!幸せになってくれ… (2021年1月21日 7時) (レス) id: 2e24d3a77d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みかげさん» わぁありがとうございます!!泣 チヨちゃん可愛いですよね!?(?) (2020年9月7日 23時) (レス) id: 439e2c470d (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - 完結おめでとうございます……!!shp君……君イケメンすぎん!?ってかチヨちゃんかわ……チーノさん羨まし(殴)めちゃめちゃおもろかったです!!ありがとうございました! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 946825ef56 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 粉みるく。さん» ちょっと見たいというコメを見たので、、、! (2020年7月13日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
粉みるく。(プロフ) - ば、番外編…w わーいチヨちゃんだぁぁぁぁ! (2020年7月13日 23時) (レス) id: 091f5a802b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2020年5月20日 1時