隣人さん ８ ページ8
時刻は９時を回った。
何とか深夜にならず仕事を終えた私たちは、思いっきり疲れをため息と共に吐き出した。
二日酔いも酷いが肩こりも酷い。
デスクワークに必然的に付いてくるものだ、仕方ない。
目頭を押え目の疲れを軽減させていると、コネシマくんが先に立ち上がった。
「よし、Aん家行くぞ」
「ぬぁ！？」
突然爆弾発言を放り込むコネシマくん。
よく通る声なので周りにも聞こえたらしく、怪訝な目を向ける社員たち。
「ちょ、バカ！！こっち！！！」
急いで帰る支度をし彼の耳を掴み引っ張りながら「お疲れ様でーす」と早足にオフィスから出て行った。
「バカバカバカバカ！！人前で何言ってんのバカ！！」
「何回バカ言うねん！！」
抓られた耳を赤く染めたコネシマくんはケラケラ笑っている。
笑い声までデカいとは凄まじいなこの男。
「…で、どうして私の家に来るのよ」
「辛そうやから？」
「はぁ？」
「今日は特別にコネシマ様の手料理を振舞ってやるぞ！」
「はぁぁあ！！？？いや無理無理無理無理！コネシマくんが料理なんて無理！！」
「ほんっま失礼なやつやな！！おら行くぞ！！」
何だか楽しそうに歩き出したコネシマくんに追いつく。
どういう風の吹き回しなんだ。
私のアパートの近くのスーパーに着いた。
いつもカバンに入れてあるエコバックを出せばぶんどられ。
「ここに入れてけばええん？」
「待ちなさい。犯罪になりますそれは最後です」
「え、そうなん？」
不覚にも可愛いと思ってしまった。
カートにカゴをセットしカラカラと押せば、「俺が押す！」と無邪気に言われてしまい交代。
「あ、あの…何作るの？」
「せやなー。無難にチャーハンとか？」
「ぜっっったい手伝うね」
「いや座ってて欲しいねんけど」
何故頑なに自分が作ると言っているのだこの人。
チャーハンなんて家にある材料で作れる、と言っているのにも関わらず、何のこだわりなのか一つ一つ材料を選んでいくコネシマくん。
卵も一番値段が高いのにしたり、ネギも自分で選んだり。
「普段コンビニに世話になっとるからスーパーとか久しぶりやなぁ」
「不健康すぎる。自炊した方がいいよ」
「じゃあ次は俺ん家に行こか。でAが飯作ってや」
な、なんだそのお誘いは。
嬉しくてニヤけそうになる。
コクンと小さく頷けば、彼は満足そうに笑った。
コネシマくんの家は行ったことがないな。
どんな感じなんだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1281人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ろぜ - 軽い気持ちで読んだら大好きになりました！！にやにやが止まりませんね。これからも頑張って下さい！ (6月23日 17時) (
レス) @page50 id: 3f33f1430a (このIDを非表示/違反報告)
ななし - この話すごく大好きです！読んでいてきゅんきゅんしました！これからも頑張ってください！！ (2022年12月12日 19時) (レス) @page50 id: 9bdb69c685 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ - ううううううううううううう！！！！！！！しんじゃう！！！大好きです！！ありがとうございます！！ (2022年3月22日 15時) (レス) @page50 id: 8a217b576f (このIDを非表示/違反報告)
レイ - えrいけどシッマかわえぇぇぇぇ！！！！！！！！！！！ (2021年9月1日 18時) (レス) id: dbadc04c4b (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 最高かよぉ〜〜〜 (2021年9月1日 18時) (レス) id: dbadc04c4b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お茶
| 作成日時：2020年4月2日 21時
