ハッピーエンド38 ページ38
〜沖田side〜
あまりに居心地が良く、ストレスを感じない空間に眠気が襲い、寝てしまった。
目を覚まし、急に入り込んできた陽の光に目を細める。
辺りを見渡しAさんを探すと、遠くの方まで行ってしまっていたのが見えた。
眠りにつく前に彼女が言った言葉を思い出す。
______苦しいものを、抱えてるものを、堪えきれないものを、教えて欲しい
…俺は、Aさんに甘えていいのだろうか。
この人に全てを委ね、甘えてしまって。
今まで人に裏切られ、人を殺し、守りきれなかった味方の死を見てきた。
穢れた俺を受け止めてくれたAさんに、もっと荷を渡していいか分からない。
考え込んで一点を見つめていたら、ガサガサっと音がした。
顔を上げれば、Aさんが腕にいっぱいの花を抱えていて。
「あ、起きました?」
頬をほんのり淡い桜色に染め、目を細めるAさん。
「それ、どうするんですかィ?」
野に咲いていた花たちは優しい色で。
胸いっぱいにAさんに抱かれている。
「花かんむり作ろうと思ってまして」
無邪気な彼女に自然と笑顔になる。
まぁ、いい。
そんなの後で考えりゃいい。
今は、この人の時間を大切にしよう。
「へぇ〜、作れるんですねィ」
「幼い頃友達に教えて貰って、よく作ってました」
懐かしんでいるのか、手際よく手を動かしながら頬をゆるめるAさん。
その横顔を見ていたら、あっという間に花かんむりが出来上がっていた。
「じゃじゃーん!って事で」
自慢げに見せた後、俺の頭にポンっとナチュラルに乗せる。
「うわぁ可愛いいい!やっぱり総悟くんは似合うと思いましたよ!そこら辺の女の子より可愛いとか罪ですね」
ニヤリ、と笑うAさん。
目を殺しジトッと見てやれば、焦ったような顔に変更。
「あ!いや!あの、別に総悟くんが女の子みたいって訳じゃないですからね!?いやそりゃ中性的な顔立ちですけど、でも私にとってはその王子様的存在というかなんというか」
饒舌に話し始めた彼女の頭に、花かんむりを返す。
頭に置いてやれば、口を止めキョトンと目を見開いた。
「…可愛い」
頬杖をつき、そう囁く。
すると、みるみるうちにAさんの顔は真っ赤に染まっていった。
「なななな何言ってるんですか!!」
「あ、声に出てやした?」
「絶対わざとですよね!!??」
過去の話や、悩む事は必要ない。
ただこの人と一緒にいればいい。
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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時