検索窓
今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:25,515 hit

箱庭の海43 ページ43

「けど、周囲の目はちょっと変わったかも。それは銀時くんもじゃない?」


「まぁな。お前といると男子からの目が痛てぇわ」


「私は女の子から…かな。けど、その…」


照れたように頬を赤く染めて、目をそらすA。

「ん?」と聞き返すと、目元を緩めた。


「友達が出来たの、女の子の。ほぼ銀時くんとの関係の話だけど、それでも友達になってほしいって言ってくれて…」


穏やかな表情で、とぎれとぎれ話すA。


「銀時くんがいなかったら、友達作れてなかったかも」


「そんな事ねーよ。Aと友達になりてぇやつなんて沢山いるんだぜ。Aが優しい空気纏うようになったから、話しかけやすくなったんだ」


そう伝えれば、首を横に振る。


「やっぱり、銀時くんのおかげだよ。その空気を纏えるようになったのは、銀時くんがいてくれたからだよ」


出会った当初からは考えられないような、優しい視線。

言葉数も増え、俺との距離はもうない。

正直、この一週間は天国だった。

浮かれまくっている自分に吐き気を催したくらいだ。

それくらい俺は、Aに惚れている。

好きだという感情がこんなにも愛おしく、苦しいものだと知る。


「…あの、よ」


「ん?」


「俺、Aのお義父さんに会ってみてぇ」


だから、こいつを守りたいと心の底から思う。


俺がお義父さん、と口に出すと、Aは分かりやすく目を伏せた。

一気に空気は変わり、居心地が悪い空間になる。

けど俺は、この問題を解決しない限り、Aを本当の意味で守れねぇと思った。


「会って話してみてぇんだ。Aの彼氏として」


無言で固まったAに、説得するよう後押しする。


「お母さんを傷つけないように、したい」


「…分かってる」


前の旦那を交通事故で亡くしたAの母親は、自分を責め鬱病になった。

変わり果てた姿はAにはどうすることも出来ず、一年ただそばにいることしか出来なかった。

その一年の幸せを取り返すように、その男が現れた。

今、Aの母親の一番の幸せは、きっとその男の存在だ。

母親の幸せを壊したくないというAの想いは、きっとそういうことを言ってるいるんだろう。


「一年、Aの母さんが再生しなかった一年。Aは精一杯、母さんに尽くしたんだよな」


「何しても無駄だったけど、ずっと」


「…今から行こうじゃねぇか、Aの家に」


「え…?」

箱庭の海44→←箱庭の海42



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
68人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 夢小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月10日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。