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フゥリと話を終えた実は早速亞琉斗を探しに足を動かしていた
貴重なオフの日をあんな男に費やすなんて思ってもみなかったがフゥリの期待は裏切れない
話を聞きながら常に誰かを思っているフゥリを綺麗だなぁとぼんやり思っていた
実が芸能世界に生きているのは金を稼ぐ為
夢がないと言われるかもしれないが、たった一人である兄の医療費の為だった
兄が元気だった頃はデザイナーとして活躍する兄の試作品を誰よりも早く着せてくれた
実は兄の服を着ている時が一番映えたのだった
キャスケットを深く被り直し目立たないように目立たないように、大通りを歩いた
しかし
「きゃっ!?」
突然後ろから手首を捕まれ悲鳴を上げる
まさかもう変装がバレてしまったのかと思いつつサングラス越しに後ろを振り返った
「あ、やっぱりみのりんだ!」
周りに聞こえないよう配慮したのか小声の少年
金髪の髪には可愛らしい星型のピン留めがしてありそれは見知った顔だった
「な、なんだ、巽くんか…」
安堵した実は胸を撫で下ろす
彼は芸能仲間の一人であり友人の声の役者、つまり声優
実ほどではないがファンは多い
要は知っている人は知っているので素顔丸出しの彼をある意味尊敬する
「一人で何してるの?遊んでるわけじゃなさそうだけど」
「ちょっと人探しをね」
「人…?」
いつの間にか横に並んで歩く巽
声を掛け尚且つついてくるということは彼も今日はオフなんだろう
彼には酷い幼馴染がいると話したことがある
詳細を伝えると巽は不思議そうな顔をした
「どうして助けるの?そんなやつ」
信号が青になるのを待ちながら実は答えた
「亞琉斗には誰かが必要なのよ」
「実さん」
ふと、また後ろから声が聞こえる
「秀夜くん?」
声を主を見た実は笑顔だが隣で巽が心底驚く
それなりに顔の整った人間を見てきたつもりだが
「と、友達?芸能人、じゃないよね」
見上げる巽に秀夜は軽く会釈する
あまりに端正だとこの世のものでないのかさえ思ってしまう
しかし大きな頬の傷が秀夜を現実のものだと引き止めているようだった
「亞琉斗さんのことでお話が」
その言葉に実はハッとする
「居場所分かるの?」
「いえ、でも心当たりがあります」
会話を進める二人に嫌な予感がする
「じゃあそういうことで、またね巽くん」
「えー!ちょっとみのりん!」
案の定、実は秀夜と行ってしまった
せっかく会えた友達を取られ巽は頬を膨らませた
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作者名:灰猫 | 作成日時:2016年12月7日 5時