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豹が目を覚ましたのは使い慣れた自分のベッドの上だった
時計を見ると午前10時
酷く心地よく眠れていた気がする、体が軽い
「あ、豹兄オハヨー。」
「…シグレ…」
久しぶりに見た愛している人の顔
シグレは棒アイスを咥えたまま心配したよ、と彼の頭を乱雑に撫でた
心地よく喉を鳴らしている時、扉が派手な音を立てて蹴破られる
「兄貴ィ!!心配した…ッ!?いっでぇ!!」
すっかりいつものように機嫌を損ね弟さえも辛辣に殴る
シグレが部屋を出ていくと豹も後ろについていった
「…だ、大丈夫っすか…?」
「でんぐりがえししたのー??」
隣部屋の楓とユトリは揃って顔を覗かせている
二人は大の仲良しでユトリが記憶喪失でさ迷っていた所を父親からの虐待で家出した楓が発見し孤児院にきた、新入りだ
起き上がっても尚、虎はくらくらとしている
「前から思ってたんすけど、豹くんってシグレちゃんには優しいですよね。」
「シグレは豹兄の…俺らの命の恩人だからね。楓とユトリみたいなもんだよ。豹兄の執着は愛なんだ。」
昔は誰にでも優しかったけどね、と虎は寂しそうに苦笑した
楓とユトリの場合は逆だろう、楓がユトリに執着しているように思える
口を開き掛けた時、虎は鼻をすんと鳴らした
窓を見るとやはり亞琉斗が外にいた
今まで何処にいたのだろう
豹と回復したてのフゥリに彼を会わせるわけにはいかない
窓から音も無く飛び出すと楓とユトリがサーカスでも見るかのように拍手していた
「んだよ。」
「何しに来たの!?兄貴に見つかるから声小さくして!」
小声で注意する虎に亞琉斗はお構い無し
怖いもの知らずか
「千鳥探しに来た。また仕事かよ。」
「だからっ_____!」
虎は一瞬で目付きを変え亞琉斗を突き飛ばす
乾いた銃声から放たれた弾丸は虎の髪を掠めた
「あらら、すごいね。」
声の主はとても綺麗な顔立ちをした病的なまでに肌の白い男だった
もう一人、彼の後ろから少年が現れ彼を睨みつけている
「アンタ達何?…外したのわざとだろ?」
「たまたまだよ。」
屋根の上を高いヒールでコツコツと歩く男
虎は後ろの少年は獣人だと直感し目の前の敵が只者ではないことを理解した
「…王の首をもぎ取りに、ついでに喧嘩売りに来たんだ。…霜桜フゥリは…此処にいるんだね。」
「……アイツ……」
自分の髪を弄ぶ男、亞琉斗は言いかけた言葉をすぐに飲み込んだ
相手は黒泉亞琉斗をまだ知らない
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作者名:灰猫 | 作成日時:2016年12月7日 5時