少女が男嫌いになった理由。ちはやふる (ページ3)

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一首目ページ3

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほす蝶天の香具山______。

ばかでかい建物の前で、私は１人佇んでいた。
「ここが北央学園…だね」
はっ、駄目だ駄目だ、今日からわた…じゃなくて!!僕は男の子なの!!…なんだ!!!
はあ、まるで駄目ね、私。…そうだ、敬語にすればいいんじゃないかな。それなら変じゃない。そうしよう。
僕は稲葉天之。高校二年生です。今日からこの、北央学園という男子校に通います。…男子、苦手なんですけどね……。
もうそろそろでお迎えがくるらしいのですが、遅いですね。どこで道草食ってるんでしょうか。
…このキャラ正解だな。
少し向こうから、ぱたぱたと走ってくる音がする。僕“感じ”悪いけど、普通の人よりは耳いいんですよ?
「ご、ごめんごめん！遅くなっちゃって…君が、稲葉天之くん?」
「!!!……はい、そうですよ、甘糟那由太くん。」
その可愛らしい容姿の少年は、目を丸くしました。
「お、おれのこと、知ってるの！？」
そして、手なんか握ってきます。う、寒気が…
僕、男性恐怖症で、男性に触れられると寒気がして、変な汗出てくるんですよ。
バレなきゃいいけど…
「あの、そろそろ行きませんか？」
「あっ、そうだね！…ところで、なんでおれの名前知ってたの？」
「歩きながらでいいですか？」
「うんっ」
素直に僕の横を歩く甘糟くん。流石私立、校舎の中はとっても綺麗だ。
「あの、あんまり大声出さないでくださいね…？」
「う、ん…？」
甘糟くんはなぜ最初にそんな前置きがされるのかわからないんでしょう、首を捻りつつ頷いてくれました。
「僕、かるたのA級選手なんです。これからクラスと、かるた部でよろしくお願いします。」
「え…」
甘糟くんは、最初の注意を忘れて、思いっきり叫びました。
あの驚いた顔は、転校初日としては衝撃的でした。