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6.青の瞳 ページ9

雪のように白い肌。
触れれば潰れてしまいそうな程に小さな頭蓋。
此方に視線を向け、不安気に揺れる青い瞳。

…何故。

「………何故、子供が此処に居る」
「藤本神父がこの子を祓魔師にしたいとの事で。おや、子供はお嫌いでしたか?」
「…知っているだろうに」
「はて。百年も以前の事など忘れてしまいました」
「………」
子供は嫌いだ。
昔、人間であった頃の無知で愚かな自分を思い出してしまうから。脆弱で貧弱だったあの頃の事を考えるだけで気分が悪い。
「…にしてもお前、離れ過ぎじゃないか?」
子供から離れてドアにビタリと張り付いている俺を見て、その保護者であろう神父は呆れたように言った。
「いや、これで良い。…神父、ソレを俺に近付けるなよ」
触れて、勢い余って殺してしまってはどうにも成らない。
そうなれば確実にこの男は怒りを見せるだろう。出来る事なら、あまり険悪な仲には成りたくないものだが。
…それに、
「ソレも、見知らずの者に囲まれて怯えてしまっているからな」
神父から視線を外して子供を見やれば、目を向けられたソレは大きく肩を震わせる。
「…ご、ごめんなさい……」
「おい、あまり雪男を怖がらせるなよ」
透かさず神父から注意を落とされるが、揺れる青い瞳の中に僅かながらも強い意志を感じてドアから離れて近付けば、その瞳に溜まる涙は今にも零れ落ちてしまいそうになった。
「おい」
「…………」
だが、俺から視線を反らそうとはしない。
「…名は」
「へ…?」
「名は何と?」
「……ゆ、ゆきお…。おくむら、ゆきお…」
小さくか細い声だが確かに力の籠った言葉。
それだけだったが、それで充分だった。
良い名前だと言うと、ぱちりと瞬いて嬉しそうに笑みを零すユキオ。
「…?」
そしてその一瞬、仕草ではない何かに違和感を覚えて、俺は神父に気付かれ無いよう身構えた。

「ユキオ。貴様は何故、祓魔の道を志す」

ーーーー何だ、この…嫌な感じは。

覚えのあるような無いような、曖昧でほんの僅かな感覚。だが、それは確かに目の前の子供の中に存在した。
「…えと、その…僕は……僕は、みんなを守りたいから…。こわいのから、にいさんやみんなを、守りたいから…」
恐る恐る、というように発された言葉に嘘は感じられず、心拍数も少々速いがそれもさして問題無い。
「…そうか。ならば強くなれ、ユキオ」

ーーーーこの感じは、何だ。

コクリと頷いた瞳は、深い青。
…それに、ふと既視感。
その瞳と同じような色を見た事があるような気がして思い出そうと見詰めていれば、暫くして後ろに襟首を強く引かれた。

7.道→←past2.崩壊*



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設定タグ:青の祓魔師 , 男主 , 人外   
作品ジャンル:アニメ
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碧石杜@奈良定(プロフ) - ありがとうございます。 (2017年2月5日 10時) (レス) id: 99d14ccf5f (このIDを非表示/違反報告)
Dhian(プロフ) - 凄くカッコイイ話です。続き楽しみにしてます (2017年2月5日 9時) (レス) id: d3419f40dd (このIDを非表示/違反報告)
碧石杜@奈良定(プロフ) - やまださん» ありがとうございます (2017年2月2日 20時) (レス) id: 99d14ccf5f (このIDを非表示/違反報告)
やまだ - 更新頑張って下さい! (2017年2月2日 19時) (レス) id: c225b78ce7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マシュマロ職人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年1月26日 21時

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