ノートに記された決意 ページ9
家族の形見という言葉に僕はしばし押し黙る。ガラス越しのAの姿を見ると、不意にAのリュックに仕舞われていたあるものが頭を過った。
世「…分かった。でも、リュックは家に届けなくていいよ。あいつ、入院したら退屈して周りに迷惑ばかりかけるだろうから、アルバムがあれば少しは気晴らしになると思う。」
「…そっか。確かに一理あるな。…じゃあ頼むよ。済んだらまっすぐ帰って構わないから。」
キティさんは廊下の先にいた執刀医の先生に気付き、その場を後にする。僕はそんなキティさんからペンダントを受け取り、治療室の中に足を踏み入れた。
〜〜〜
治療室の中は看護師達も一時席を外したおかげでより一層静けさが際立った。
聞こえるのは酸素マスク越しのAの呼吸音とモニターの心電図の音だけ。
隣まで来るとガラス越しでは見えなかったものが見える。やはり、いつもと比べたら顔色は悪い。出血が多かったのだから当然だけど。左手には火傷の跡があった。跡が特徴的だったので、リボルバーのシリンダーを掴んで出来た火傷なのはすぐに分かった。
世(撃たれながらシリンダーを掴んで男を制圧したのか。無茶するなぁ…)
呆れながらも、こうして生きていてくれた事に安心して自然と笑みが溢れる。
こっちの心配をよそにAはとても安らかな表情だ。そんなAの枕元に形見のペンダントを置く。
世(…早く目を覚ませよ。)
ひょっとしたら、もう目を覚ますかも？そんな気さえして、僕は隣の椅子に腰を下ろした。
そして、上着の内ポケットから一冊のノートを取り出す。
世(…お前のリュックに入ってたこのノート…中を見た時はママに話さなきゃって思ったよ。お前が日本で何するつもりなのか心配になったから。)
そのノートは最初の1ページにだけ力強い文字でAの覚悟が書かれていた。
『あれから色々調べて、気になる事がいくつか出てきた。秀一さんの事件の詳細も知りたい。だが、まずは新一の周辺を探った方が良さそうだ。そのうち、必ず2人が接触していた事が分かるはず。でも、あからさまに調べていると2人に妙な警戒をされるかもしれないし、もどかしくはあるけど地道にやろう！そうすればきっとメアリーさんを救う事だって出来る。それだけじゃない。俺や真純やメアリーさんにとって大きな転機になる！その為にも俺は日本でたくさん情報を集めなきゃ！これが、1人になった俺に手を差し伸べてくれた2人への俺からの恩返しだ！！』
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ヒロ(プロフ) - 続きが滅茶苦茶気になります。更新楽しみに待ってます (2020年4月27日 18時) (
レス) id: 0b6c256cc4 (このIDを非表示/違反報告)
vile - 真純が日本へ発つ覚悟を決めた！原作知識で２人で来日するのは分かってますが、サイドストーリー的な感じで、続きがメチャメチャ気になります!!更新を楽しみにしてます♪ (2018年6月23日 13時) (携帯から) (レス) id: 66be3b6d69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：矢代ゆうま | 作成日時：2018年4月27日 3時
