逆転した門出 ページ20
貴「あ、だったら、俺のもう一個の仮説の方もついでに」
世「それはまた別だ！…軽く調べては見るけど、掘り下げるつもりはない。」
貴「えぇ〜…なんでだよ…」
Aはあからさまに残念がる。だが、すぐに首だけひょこっと上げて食い下がってきた。
貴「じ、じゃあ、せめてあいつの家とか調べてみてくれよ！もしかしたら、身分を隠した怪しい男が」
世「いいからお前は大人しく身体を休めてろっての！！軽く調べてやるから！か・る・く・は！」
大事な所を強調して伝えたつもりだったのだが、どうやらこの馬鹿にはそれが通じなかった様で…
貴「よし！分かった！調べるって言ったんだからちゃんと足運んで確かめるくらいはしろよな？任せたからな？サボんじゃねえぞ？」
世「(…こいつ、折れる気全くないのかよ)……はいはい。もう分かったから…」
僕はもうこれ以上言っても無駄だと悟り、そっけない返事をして治療室の扉に手を掛けた。
貴「…真純」
さっきまでとは違う力のない声に、扉に手を添えたまま立ち止まり、振り向かずに次の言葉を待った。
貴「…今度は俺が追いかける番だ。すぐに追いついて見せるからさ。待っててくれ…」
待っててくれ…その言葉に僕の口元が緩む。
世「…さっきも言ったじゃないか。もちろんだよ。僕らは相棒なんだからさ。でも、立ち止まる気は無いけどね。」
貴「ああ、それでいい。でなきゃ追いかける意味がない……ありがとな♪」
見なくても分かる。嬉しそうにこっちに笑顔を向けるAの姿が…。
すると…
世(…ここを出たら、Aとは暫くお別れ…か。)
そんな考えが頭を過ぎった。このまま別れても、また会えるんだ。今しがたの僕等らしいやりとりで別れた方が性に合っている……そう思ったが…。
僕はゆっくり後ろを振り返る。
世「A…」
貴「ん？」
ベットから顔だけを上げて僕を見つめるAの瞳を僕も同じ様にまっすぐ見つめる。
世「その…元気でな。…あ、あと…」
気恥ずかしさでぎこちないながらも僕は親指をキュッと立てて見せる。そんな僕の姿を見てAは微笑みを浮かべてピースを返した。
貴「うん。お前もな♪」
それが僕とAのイギリスでの最後のやりとり。その後、日本に発ち、僕はやっと大きな一歩を踏みしめた。
Aには内緒だけど、普段から行動派の僕でも躊躇っていたこの一歩を踏み出せたのは、Aのあの強引な誘いのおかげ。今は感謝しているよ、A…
続く
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ヒロ(プロフ) - 続きが滅茶苦茶気になります。更新楽しみに待ってます (2020年4月27日 18時) (
レス) id: 0b6c256cc4 (このIDを非表示/違反報告)
vile - 真純が日本へ発つ覚悟を決めた！原作知識で２人で来日するのは分かってますが、サイドストーリー的な感じで、続きがメチャメチャ気になります!!更新を楽しみにしてます♪ (2018年6月23日 13時) (携帯から) (レス) id: 66be3b6d69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：矢代ゆうま | 作成日時：2018年4月27日 3時
