◆PROLOGUE−４０◆sideディア・クロウリー ページ45
杞憂もいいところだと笑い飛ばす。
さて、この寝坊助さんをさっさと起こして寮まで案内してやろうかと伸ばした指先が背中に触れた、その瞬間。
『ッやだっっ......！！！』
「っ！？ちょ......っ」
悲鳴と共に目を見開いた彼が机から勢いよく転がり落ちるのをみて、ひやりと肝が冷える思いがした。
ほんの少し触れただけなのに...
困惑しながら怪我をしてやしないかと覗き込むが、かなりひどい体勢で落ちたはずのベル君はしかし、何処かを痛めた様子もなくむくりと起き上がる。
...ただ、しきりに何かに怯えるようにして背中を壁に押し付け、頭を抱えてぶつぶつと何かを呟いている姿はどこから見ても異常そのものだったが。
「...ベル、君......？」
『ッうあっ...！ひぅッ、ぐ、ゥウ......』
「！！？ベル君、しっかり！」
慌てて駆け寄り肩を掴んだが、怯える彼に振り払われてしまってはどうしようもない。
払われた手のやり場をなくして迷っている間にも、ベル君の様子はどんどんと変化していくのだ。
過呼吸ではうまく息が吸えないらしい。
呼吸を整えようと必死になって口を押さえ、苦しそうに喘いでいる姿に...歯痒さを感じる。
私は怯える生徒一人、落ち着かせてやることが出来ないのか。
...いや、自分の無力さは後回しだ。
まずはこうなった原因を探ろう、と先ほどまでの行動を顧みる。
眠っていたベル君を起こそうと、背中に触れた瞬間に彼は飛び起きた。
悲鳴を上げるくらいだ、そして過呼吸を起こすほどの恐怖心ともなればトラウマになるような出来事を思い出したか...
悪い夢を見ていたわけでもないだろう。
私が触れるまではすやすやと安らかに眠っていたのだから。
そう、すやすやと...
「...私が、触れるまでは......」
自分の指へちらりと視線をやり、じぃっと見つめてみる。
軽く遊ばせてみればカチャカチャと、爪の小気味いい金属音が響くが...
直接肌に触れたわけでもなし、尖ったものがダメという訳でもないはず。
......それなら初対面の時に、既にこの状態になっていてもおかしくはないのだから。
だとしたら触れたこと自体が彼の地雷だったという話になってしまうが。
ユウさんには好きに触らせていたのだし、潔癖症という訳でも...いや、待て。
もしも、触った場所がいけなかったのだとしたら？
...そうだ。そう言えば彼は先ほどの話し合いの際に、一度だけ奇妙な行動をとったではないか。
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雨水(プロフ) - だれかさんさん» コメントありがとうございます〜！！今後様々な事件が起きるにつれてマブ達との絆も深まってまいります！もっと面白く読めるよう尽力してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします〜〜！ (2021年12月12日 1時) (
レス) id: c39e48623f (このIDを非表示/違反報告)
だれかさん - おもろくてすきです (2021年12月12日 1時) (レス) @page47 id: e7b132919e (このIDを非表示/違反報告)
雨水(プロフ) - kanameさん» ありがとうございますwww今後もギャグパート、それ以外でも面白いと思って頂けるように頑張ります！！ (2021年12月6日 15時) (レス) id: c39e48623f (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - 唐突に｢我がナ〇スの科学力はぁああ！｣のやつ出てきて吹き出しましたｗｗｗテンポ神すぎて笑いこらえれないｗｗｗ最高ですｗｗｗ (2021年12月6日 5時) (レス) @page18 id: 7565f8d7cb (このIDを非表示/違反報告)
雨水(プロフ) - フランとベルさん» 大正解です！本来の台詞を一部変更し、エドに叫ばせてみましたw (2021年11月4日 13時) (レス) id: c39e48623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨水
| 作者ホームページ：http://hibiki
作成日時：2020年12月4日 2時
