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距離感は、


元々おかしかった。


薄々、自覚していた。




けどそれは、あの頃の俺にとっては当たり前すぎて、
なんでもないのことだったのに。







今度は稲光と同時に近い距離でズドン!!っと大きな音。

その音に驚いたことによりさっきよりもっと近づいて、
ゼロになった二人の距離。


そう思ったのは、一瞬で。




雷のせいなんかじゃないって。

これはそんなのじゃないって。




すぐに気づいたのは何かの柔らかい感触を唇に感じたから。







暑い。

熱い?


体が。

唇が。





いつの間にかバケツをひっくり返したように音を立てて落ちていく雨が
高架下に浸水して来て、足を濡らして冷やしていくっていうのに、
逆に体はどんどんと熱を帯びていく。


優しく柔らかく入り込んで来た、いのちゃんの舌の
さっきまでのアイスとは違うソーダの味に戸惑うだけで、
俺は何もできずに突っ立ったまま動けないでいた。





また、ピカって光って。
バリバリバリ!!っと、何かが裂ける音。


その音で、巻き戻すように、やっと離された唇は
さっきまでアイスを食べ冷えていたとは思えないくらいに
熱くて熱くて溶けそうなほどだった。






「…ちょ、…いのちゃん、冗談やめろって!!」


また、いのちゃんがいつもの調子で俺のことをからかってるんだって。

真剣にとっちゃだめなんだって。



そう思って、そう言い聞かせて。
自分の手で乱暴に唇をゴシゴシとぬぐいながら笑いかけると、いのちゃんも笑ってた。




笑ってたけど、

なんか悲しそうで。




「ごめんね、大ちゃん。…俺、もう、限界だわ。」



ヘラヘラと。
無理矢理に作った泣きそうな笑顔で、意味のわからないことを言った。





” 何が?

何がもう、限界なの??"




あの頃からいのちゃんは、俺にわからない難しいことをよく言っていた。

今なら、そのどの言葉も、行動も、
全て意味も想いもわかるのに。


あの頃の俺は、子供すぎて、わからなかった。



いや。

怖くてわからないふりをしていただけのかもしれない。





ごめんと頭を下げたいのちゃんの顔は見えなかった。
けど、いのちゃんの小刻みに震える肩に、俺はどうしようもないくらいの不安を覚えて。




消えちゃいそうだって、思って。

行かないでって、思って。




何も考えずに思わず、

その、ほっそい体を抱きしめていた。




*→←*



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ひびた。(プロフ) - りんごぜりいさん» お返事遅くなってごめんなさいm(_ _)m先ほどメッセージをお送りいたしました。届いていない場合はお手数ですがおしらせください☆ (2018年11月25日 0時) (レス) id: 3d951651f9 (このIDを非表示/違反報告)
りんごぜりい(プロフ) - この作品見てたら段々と『いのあり』が好きになってきたかも知れません笑 ひびた。さんの作る作品なら何でも行けちゃうかも? 突然申し訳ないんですが、たんぺん歌集のパスヒントが知りたいです。迷惑だと感じたらスルーして貰って結構ですよm(_ _)m (2018年11月5日 12時) (レス) id: af27089f2d (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - しろくまさん» 苦手なんですよね…。リアルすぎて、逆にぼやけてしまうというか、そんな感じでなかなか書けないです(^_^;)他のお話同様、こちらもノロノロですがこれからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2018年10月18日 1時) (レス) id: 3d951651f9 (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - ヨウコさん» inさんが出てくるなら、右でも左でも美味しくいただけてしまう超絶雑食のお仲間がいて私は幸せです(T ^ T)これからも一緒にinさんを愛でてまいりましょう!! (2018年10月18日 1時) (レス) id: 3d951651f9 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - いのあり、とても苦手とは思えませーん。いのありの男の子っぽさと可愛らしさがせめぎ合う感じが素敵です。引き続き、更新を楽しみにしています。 (2018年7月3日 13時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひびた。 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年7月1日 14時

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