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episode,72 ページ25

コイツは私の事が好きなの?
でも会うたびに嫌っていた。
一日一回は喧嘩をしたような仲なのに。


「早く食べないと冷めるぞ」


「・・・そうだね」


彼の言う通りに冷めないうちに食べた。食べている間、やっぱり疑問が浮かんでしまう。
目の前にいる男は私の事が好きなの?それに、先程のセリフは昔あの男の子に言われたセリフ。
あれは確か別れる前に私が聞いた質問だった。


___
__
_


「__君はさ、好きな女の子とかいるの?」


夕暮れに聞いた質問。
男の子の顔は夕焼けでよく分からなかったけど、少し笑った気がした。


「・・・まさかいるの?」


「どう思う?」


「どうって言われても」


「困ってる顔もいいな。眉毛がいつもより垂れ下がって可愛いと思う」


「か、可愛い?何言ってるの?」


幼い私は頬を染めながらそう言った。


「か、からかっているならいい加減にしてよね」


「そう捉えるなら別にいいけど」


男の子はそっぽを向いてそう言った。
彼の頬も少し赤く染まっていた気がしたが、きっと夕焼けのせいだと思っていた。
_
__
___


今までそう思っていたが、もし本当に目の前にいるのがあの時の男の子なら。


「おい、新藤!」


「ハイ!?」


急に呼ばれて驚いた。
食器洗い中にボーっとしてしまった。


「終わったから先に風呂でも入れ。もう沸いてるはずだから」


「あのさ」


「何だよ?あ、服なら一応女性用のパジャマ買ったから」


「いや、そういうのじゃなくて」


「じゃあ何だよ?」


「私は小さい頃、アナタに会った事があるの?」


彼の目を見てちゃんと言う。


「小さい頃によく公園で遊んだ男の子なの?」


「・・・今ここでそうだって俺が答えたらどうするんだよ」


「それはっ」


「あの頃からお前の事が好きって言ったら離れるんじゃないか?今のお前は俺の事嫌いなんだから」


彼から言われた「嫌い」が胸に刺さる。


「嫌いよ。大嫌いよ。アナタの笑顔が嫌い。アナタの真意が分からない表情が嫌い。アナタの嘘が嫌い。アナタの事、嫌いだから・・・・嫌い、なのにっ・・・」


嫌い、大嫌い。なのに、何で涙が出てくるの?何でこんなに苦しいの?


「私はアナタの事が嫌いです」


「俺もお前が嫌いだ。優しくて、強くて、自分を犠牲にするお前が」


「なら私に関わらないでよ?嫌いならさ」


嫌いなら、関わらないで、近づかないで、笑顔を向けないで、話さないで。
じゃないと私__分からなくなっちゃう。

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rekuiemu(プロフ) - 悠さん» コメントありがとうございます!これからも応援して下さると嬉しいです!! (2018年6月10日 10時) (レス) id: 1957aa9c34 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごい面白いですね!これからも頑張ってください! (2018年6月3日 0時) (レス) id: 3f15d9f557 (このIDを非表示/違反報告)
rekuiemu(プロフ) - 明里香さん» コメントありがとうございます!見つけて下さりありがとうございます!申し訳ありません。不甲斐ない作者ですがこれからも応援して下さると嬉しいです。 (2018年5月10日 22時) (レス) id: 1957aa9c34 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「もっ遠く」ではなく、「もっと遠く」です。 (2018年5月10日 8時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rekuiemu | 作成日時:2018年5月4日 22時

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