検索窓
今日:44 hit、昨日:0 hit、合計:71,358 hit

episode,62 ページ14

車椅子にのり、中庭に出る。
自分の足で歩き回る事が出来ないのは残念だが、外の空気を吸えるだけまだいい。


「どうですか、久しぶりの外は?」


車椅子を押す零が聞いてくる。


「解放された気分かな」


「それは良かったです。そういえば、足はまだ痛むんですか?」


「別に動かしても平気だけど、医者がまだ無茶するなって」


「ドクターストップってやつですね」


「医者も心配しすぎ。自分の体ぐらい管理出来るって」


「意外と無茶するタイプですからね・・・あ、あそこのベンチで休憩しません?」


木の下にベンチがあった。
日差しが入らなそうなので、涼しそうだ。


「うん、そこにする」


私達はベンチに向かう。
着くと零は私を車椅子から降ろし、ベンチに座らせてくれた。


「自販機で飲み物買ってきますね」


「いってらっしゃーい」


「すぐに戻りますね」


そう言って零は走って行った。
別に歩いていけばいいのに。


「Aさん?」


「沖矢さん!?どうして・・・?」


入れ替わるかのように沖矢さんが現れた。


「アナタが入院していると聞いたのでお見舞いに」


「そうなんですね。すみません」


「いえ、謝る事ないですよ。しかし不運でしたね。歩行者が突然飛び出して、避けたんですよね?」


「はい。歩行者は無事だったんですけど、私が少々ケガしてしまって・・・」


と表上はなっている。


「隣座っても?」


「いいですよ」


そう言うと沖矢さんは私の隣に座った。


「ここには誰と?」


「えっ」


「ケガをしているアナタが一人で、しかも車椅子を使ってここまで行くことは難しい。
 となると、誰かが車椅子を押してこの場に来たのでは?」


「そうです。沖矢さん凄いですね」


「そんな事ありませんよ」


「ここまで連れてきてくれたのは安室さんです」


「ほぉ、彼が?」


「はい。彼、毎日来てくれるんですよ。暇な人じゃないのに・・・本当、バカですよね」


じっと沖矢さんが見つめてくる。
何かマズイ事でも言ったかな?


「・・・彼と付き合ってるんですか?」


「はぁ!?何言ってんですか!?」


「いや、いつも思うんですけど・・・・彼の話をしてる時のアナタ、嬉しそうに話してるので」


「私が?」


「えぇ、口元がニヤケてます」


『口元がニヤケてるぞコニャック』


あれ?
聞いた事あるセリフ。
そういえばこのこの流れ、デジャブを感じるんだよね。

episode,63→←episode,61



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (79 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
369人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

rekuiemu(プロフ) - 悠さん» コメントありがとうございます!これからも応援して下さると嬉しいです!! (2018年6月10日 10時) (レス) id: 1957aa9c34 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごい面白いですね!これからも頑張ってください! (2018年6月3日 0時) (レス) id: 3f15d9f557 (このIDを非表示/違反報告)
rekuiemu(プロフ) - 明里香さん» コメントありがとうございます!見つけて下さりありがとうございます!申し訳ありません。不甲斐ない作者ですがこれからも応援して下さると嬉しいです。 (2018年5月10日 22時) (レス) id: 1957aa9c34 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「もっ遠く」ではなく、「もっと遠く」です。 (2018年5月10日 8時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:rekuiemu | 作成日時:2018年5月4日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。